2010-07-12日本美術そうだったのか通信
『日本美術そうだったのか通信』Vol.223 ?発禁処分になった“幻の画家”?

2010/7/12発行

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もくじ
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・ご挨拶&お知らせ
・社長メッセコーナー:千秋のそうだったのかニュース
・最新カタログよりご紹介 ~別号は“平野人” 森田恒友~ 
・ネットで愉しむ秋華洞 ~新着作品~

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■□■ ご挨拶&お知らせ □■□■□■□■□■□■

 カタログ「初夏号」、勘のいいお客様からは「初夏っていうことは、夏の間に
もう一冊くらい出るの?」とのお問い合わせがありましたが、そのとおり。実は
すでに次のカタログの編集に突入しております。

今度の掲載作品の特徴としては、初夏号に比べてお手頃な作品が多いこと。初夏
号で伊藤晴雨にご興味を持たれた方も多いかと思いますが、なにぶん大作で手が
出ない…との声も聞かれました。そんなお客様のために、次号では値段もサイズ
も手頃な伊藤晴雨作品を掲載予定です。

次号カタログは8月上旬に発行予定。どうぞおたのしみに!

さて、今回はカタログ24号から、社長のいち押し作品、秋華洞的おすすめ作品な
どを、本誌だけでは伝えきれなかった豆知識をふんだんに盛り込んでお届けいた
します。ぜひ最後までお付き合いください。

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■□ 社長メッセコーナー:千秋のそうだったのかニュース ■□
前回のメルマガでは、カタログ最新号からNo.44橘小夢『芍薬の賦』についてご
紹介しました。

橘小夢。謎の多い画家です。名前自体あまり知られていないかも知れません。で
もどうですか、今回の『芍薬の賦』の完成度!ただの仕込み(凡作を注文で描い
た作品)作品とは全く違います。

どういう人なのでしょうか。私どもでも資料が少なく、多くの事は知り得ません
が、一度「弥生美術館」で、個展が開かれています。平成5年『橘小夢展-沈美
なる幻想-』。

どんな画家なのか、わずかな手がかりから探ってみましょう。

明治25年、秋田市生まれ。本名は加藤煕(ひろし)。16才で上京して、黒田
清輝、川端玉章に絵を学びます。代表作は、何、と軽々に言えませんが、必ず引
き合いに出される、一種恐ろしい図があります。

『水魔』。昭和7年作。一度は発禁処分になった作品です。

裸の女が、恍惚とした表情で沼に沈んでいきます。背中には、河童がとりついて
います。
(続く)

田中千秋社長のブログ『丁稚ログ』
http://www.aojc.co.jp/blog/

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■□最新カタログよりご紹介 ~別号は“平野人” 森田恒友~■□

カタログ初夏号には、初っ端から観る者の心を奪うパンチ力あふれる作品があ
る一方、じわじわとハートに染みこんでくるホンワカ癒し系の作品も掲載されて
います。今回はその中からとびきりの一点をご紹介。

 森田恒友は明治14年に埼玉県で生まれました。おさない頃より秀才であった彼
は中学へと進学しますが、胃病を患い退学、明治34年に念願かなって上京します。

 小山正太郎主宰による画塾・不同舎で青木繁らとともに絵を学び、東京美術学
校西洋画科を首席で卒業(研究科は中退)後は、美術文芸誌『方寸』を創刊して
芸術論を発表するなど、精力的に活動を続けます。

北原白秋とともに『パンの会』を立ち上げ、文展で入選し、中学校教師を経て政
治漫画を執筆するなど、さまざまな経歴を重ねた彼は、大正3年に渡欧すると、
セザンヌやドーミエに影響を受けた作品を発表しました。

のちに小杉放菴らと共に春陽会を創設し、水墨画や利根川沿いの平野を題材にし
た作品を多数手掛けるなど、洋画家でありながら多彩な画題・画法に挑戦した恒
友さん。その一方で「~中退」「~脱退」といった肩書きの多く付く彼の人生は、
かならずしも順風満帆とは言えなかったかもしれません。

カタログNo.17『村童』は、村人が子を背負い野道を行く姿をとらえた図。肩の
力を抜き、さらさらと意のままに描かれたであろう親子の姿は、優しさと慈しみ
にあふれています。

無にして虚にあらず、意図して意図せず、脱力系の本作は、紆余曲折を味わった
恒友さんだからこそ、たどり着いた境地なのかもしれません。

森田恒友『村童』
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A10-214.html

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https://www.syukado.jp/jp/support/catalog/mpmailec/form.cgi

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■□■ネットで愉しむ秋華洞 ~新着作品~ ■□■□■□■□■□■
□ 中野嘉之 『秋草遊禽』
柔らかな秋草の上にたわむれるちいさき者たち

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/jpn/A10-213.html

□ 中野嘉之 『初夏』
落ち着いたトーンの中にもたしかな夏の兆し

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/jpn/A10-182.html

□ 田中以知庵  『月ヶ瀬』
画面を自由にたゆたう線描のうつくしさ

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A2-85-71.html

□ 森田恒友 『村童』
ちゃんとふんどしを締めているのか気になります

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A10-214.html

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■□■ご感想をお待ちしております!■□■

最後までお読みいただきありがとうございました。
秋華洞メルマガ編集担当、林久美子がお送りいたしました。

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弊社は50年にわたり日本美術商として活躍した代表・田中自知郎が長男・
田中千秋と共に、平成15年に「有限会社アートオフィスJC」として設立され、
その後平成18年に「株式会社秋華洞」と商号変更致しました。

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