□■『日本美術そうだったのか通信』Vol.190 中身より外見が大切!?■□
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もくじ
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・ご挨拶
・数多くの名作と逸話を残した天才浮世絵師-葛飾北斎-
・中身より外見が大切!? 箱のお話
・ネットで愉しむ秋華洞 ~新着作品~…今週はお休みです
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■□■ご挨拶□■□■□■□■□■□■
最近、某大手古書店に大量の本を売りに行きました。月日をかけて少しずつ集め、
傷みもなくシリーズがすべて揃った本に付けられた値段は、驚くほどの安い値段…。
所有者の思い入れはもちろん、古書としての付加価値さえ無視された値付けに腹
が立ったものの、重い本をふたたび持ち帰る根性もなく、泣く泣く売り渡しまし
た。大切な品物を手放す時は、その作品に合ったお店選びが必要なのだとあらた
めて実感。
さて、今回も画廊ならではの面白エピソードや作家の秘話など、盛りだくさんの
内容でお贈りいたします。ぜひ最後までおつき合いください!
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□■□ 数多くの名作と逸話を残した天才浮世絵師-葛飾北斎- ■□■□
「ひとところに落ち着くのが苦手で、好奇心旺盛。名前を自由自在に変えては
万物を紙面にしたため、中でも山を得意とする」。さて、これは一体誰のことで
しょう?
そうです、答えは言わずと知れた浮世絵の巨匠・葛飾北斎であります。彼の「富
士三十六景」「富嶽三十六景」はあまりにも有名ですよね。ゴッホをはじめ、印
象派を代表する西洋画家に多大なる影響を与え、日本で唯一アメリカの一流誌
「ライフ」の提唱する「この1,000年で最も重要な功績を残した世界の人物
100人」にも数えられる天才画家は、生涯に90回を超える転居を繰り返した”
気分屋”でもありました。
彼の名誉のために付け加えるとすれば、これは絵を描くことのみに集中した結果であ
り、部屋が乱雑になりはじめると、片付ける間も惜しんで次々と別の場所で新作を生
み出したからだと言われています。実際、彼の版画は壮大な風景画から奇怪な春画ま
で多岐にわたり、肉筆画も多く残しています。その画風に呼応するように変化に変化
を重ねた号は「春朗」「宗理」「可候」「画狂人」「卍」など、実にユニーク。守り
に入ることを嫌い、常に新たな境地へと足を踏み出し続けた彼は、今際の際に至って
も「あと10年、いやあと5年でいい、天が私に生きることを許したのなら本物の画
家になれたのに」と言った意味の言葉を残して亡くなりました。この時すでに90才。
いやはや、恐るべき学習意欲です。
今回最新カタログの作品番号57番でご紹介しているのは、彼の代表作のひとつであ
る「北斎漫画 15巻揃」。当時の人々の生活が生き生きと描かれた風俗画から、北
斎お得意の山景図、さらには恐ろしくもどこか愛らしい妖怪の類いまで、4、000
図にも及ぶ絵が描き込まれた逸品。それは現代の漫画に通ずるところもあり、歴史書
としての価値もあり、北斎の常軌を逸した洞察力に酔えるお宝でもあります。ページ
をめくるたびに新たな驚きを感じ、何時間見ていても飽きることはありません。
まさにこれぞ“日本の宝”。ぜひご自分の手でページをめくってみてください。
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■□■ 中身より外見が大切!? 箱のお話 ■□■
「外見なんて関係ない。大切なのは中身だ」、そんな価値観を持っている人がい
れば尊敬されて然るべきですが、美術品となるとそうもいきません。
弊社に舞い込む査定依頼に対し、会長や社長がたびたび口にする言葉。「その作品、
箱はあるの?」「箱がなければだいぶ価値が下がるよ」。どうやら掛軸や茶器などの
美術品にとって、箱はかなり重要な位置を占めているようです。
中でも貴重なのが「共箱」と呼ばれる、ふたの表ないし裏部分に作家の署名が入
ったもの。この署名は中に入っている作品と共に、箱が時代を渡ってきたことを
示す重要な証拠となります。ほかに作家の署名が入っていなくても、弟子やその
作家に所縁のある人物が署名や画題などを記した「箱書き」があるものも、共箱
と同様、真贋を鑑定する上で大切な手がかりとなるようです。
今も昔も、宝物は宝箱に入っているのが常識。箱がない=価値がないというわけ
ではありませんが、人も美術品も中身のよさは外見にも表れるように思います。
弊社会長・田中自知郎の鑑定の核心に迫った「鑑定マニュアル」の請求はこちら
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近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る
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弊社は50年にわたり日本美術商として活躍した代表・田中自知郎が長男・
田中千秋と共に、平成15年に「有限会社アートオフィスJC」として設立され、
その後平成18年に「株式会社秋華洞」と商号変更致しました。
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