□■□■ 「日本美術そうだったのか通信」 Vol.31
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
http://aojc.co.jp/ アートオフィスJC
http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞
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<本マガジンの説明>
日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界
裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。
アートオフィスJC・秋華洞提供。
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いつもお読み頂き有難うございます。
アートオフィスJC 田中千秋です。
さて、前回の続き。前回は、アートオフィスJCの名称の根拠、そして、あ
たらしい、書画を販売するところの和風の店名が必要になったところまでお
話ししました。
あ、えーと、興味ない方は読み飛ばして下さい。詰まらないウチワ話です。
検討の結果、付けた名前は「秋華洞」。
・・・初めに考えたのは、作家の名前を借りることでした。
はじめ、「春草」の名前を使えないかな、と思いました。短い画商生活の中
で、一番感銘を受けた作家が、菱田春草、だからです。
作家の名前を店名にする、という手は、あまり多くはないかもしれませんが、
店の特長をハッキリさせる意味では良い名前ですよね。「鉄斎堂」という有
名なお店が京都にありますが、これは言わずとしれた「最後の文人画家」富
岡鉄斎の名前を借りたものでしょう。
このお店は思文閣と並んで、書画を得意とするお店ですので、イメージはピッ
タリですよね。
でも、春草、という名前をドン、と用いるのはチョット違うかも。春草は数
も横山大観ほど多くないし、春草を集める、というのはやや無理がある。そ
れに早逝した春草は会社の名前としてはどうかなと。
で、HPで募集をかけたり、知人に相談したりしましたが、もうひとつピッ
タリこない。(応募頂いた方、有難う御座いました。)
やっぱり、代表の名前(千秋)を素直に生かそう、そしてなるべく華やかな
作品を集めたい、という父の意向で「秋華洞」という事になりました。「春」
から「秋」に、なったわけです。
(秋自屋、とか、知千堂、とか、二人の氏名の組み合わせはどうやってもだ
さいのでボツ。)
「堂」か「洞」かは姓名判断で決めました。
お知り合いの方で、もと上場会社社長の姓名判断博士(自称?)がいらっし
ゃいますので、相談したところ、「堂」だと運勢悪し。「洞」だと昇り運勢
だそうでありました。
さて、「秋」について。
季節の「秋」はやや寂しい季節ですが、けれども、芸術にとって「秋」とい
うのは最も美しい季節なのではないでしょうか。そして、ただひたすら暖か
くなる一方の「春」よりも、「稔り」と「はかなさ」が一体となった「秋」
の季節の方が「オトナ」の季節のような気がするのです。そうした意味でも、
秋、ってステキ、と、思うことにして、「秋華洞」。
一年中、秋、という名前もどうかとも思いますが、私の名前だって、一年中、
「秋」。
一年中、千年分の「秋」。
名前に、秋がついても、いいじゃないか!
説得力、イマイチでしょうか。。。
(おまけ1)競馬に「秋華賞」というレースがあるのを後で知りました。や
れやれ。
(おまけ2)「秋華洞」ってワープロ変換しにくいですね。インターネット
的には愚かかも。かわりといっては何ですが、今のところ「日本画」と
Yahoo!検索するとトップに「おんらいんぎゃらりい秋華洞」が出てきます。
(おまけ3)「秋華洞」商標登録出願中です。ちなみにロゴは田中自知郎会
長の筆跡です。
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今日の一枚
□ 池上秀畝 『海鶴桃』
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/K04-005.html
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お正月を控えて、おめでたい作品を選びました。
帝展・文展で、大正・昭和にかけて活躍した池上秀畝の作品です。
秀畝は、近代的で華麗な花鳥画で名を残しました。あの「千と千尋の神隠し」
の「油屋」のモデルとなった、目黒雅叙園の壁画の一部を担当しています。
また、首相官邸でよく小泉さんが足を止めて記者の質問に答えていますが、
その背景になっている「鷲」の屏風も秀畝のものです。
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2002/1121.html
価格 950,000円(税込)
作品は一点限りですので、ご用命はお早めにお願い致します。また、売り切
れの際はご容赦下さい。
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■□■□真贋について その6
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その1
http://backnumber.cbz.jp/mmz/backnumber/h4vn/2004090618_2534027105318424.txt
その2
http://backnumber.cbz.jp/mmz/backnumber/h4vn/2004091611_2533028098387058.txt
その3
http://backnumber.cbz.jp/mmz/backnumber/h4vn/2004092117_2582028604326152.txt
その4
http://backnumber.cbz.jp/mmz/backnumber/h4vn/2004120312_2563756799376675.txt
その5
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200412101200000000138331000
前回で、箱書き、シール、そして鑑定証、についてご案内してきました。
要するに、近代以降。業界用語で「新画」と呼ばれる明治期以降の日本画・
諸道具類は、「箱書き」「シール」「鑑定証」があるものが、「本物」とし
て通用するというルールになります。
勿論、これは法律で定めたものでも何でもなく、日本国内で流通するための
商習慣です。
また、そうした条件がそろって、きちんとした美術商が見て、総合的に本物
と見ることが出来て売買のルートに乗るわけです。
本物の箱や、鑑定証に、怪しげな作品を入れ替えたり、あるいは「箱が大事」
と聞いて、箱なしの正体不明の掛け軸に、あわてて新品の箱をつけて、もっ
ともらしいことを墨で書いても、殆ど意味はありません。
ちなみに「洋画」に関しては、日本の「洋風絵画」と、西洋絵画があります
が、日本の洋画に関しては、サインとキャンバス裏の裏書き以外に日本画の
「箱書き」や「シール」のような、決まったルールはないようです。「シー
ル」も、あったり、なかったり致します。
有名作家(高額の作品)については、以下のリンクに示すように、日本画と
同様、所定鑑定人・鑑定機関があります。
物故美術家・所定鑑定人(機関)一覧
http://aojc.co.jp/buy/courtier_y.html
また、西洋絵画に関しては、一般に、「カタログ・レゾネ」と呼ばれる、非
常に充実した作家の全集のようなものがありまして(高価です)、これに載っ
ているものが本物扱いされるようです。このジャンルは私は特に勉強不足で、
語る資格を持ちません。。
西洋絵画や、版画の分野に関してはギャラリーアポロの秋山さん(父の麻雀
と碁の仲間?)の「版画の見方買い方」に詳しいです。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4915919005/qid=1103196311/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/249-9269308-1834742
(上記無料宣伝!)
あるいは、レゾネもない、古いものなどについては、英国のオークションハ
ウス、クリスティーズやサザビーズには、色々とノウハウがあることでしょ
うが、企業秘密になるのかしら?
(ちなみに日本画に関しても、語る資格があるとは新米画商の私に、到底言
えませんが、どうかご容赦を。。。精確なことは、弊社会長等にご確認下さ
い。ちなみにこの分野の事は、きちんと文書化された本がないような気がし
ます。)
いわゆる新画、について、「所定鑑定人」がハッキリしている物故作家に関
しては、いままで書いたように、真贋の白黒を明確につける「ルール」が確
立している、といえるでしょう。たとえ、鑑定証が無い作品でも、「真筆保
証」ともし売り手が言った場合、買い手は、その作品を所定鑑定人に持ち込
んで、真筆鑑定がとれなかった場合、その作品を突き返して、代金を全額戻
してもらう「権利」がある、ということになります。(これも商習慣であっ
て、法律上のものではありません)
ただし、「所定鑑定人」というのも、曖昧なときがあります。たとえば、作
家が亡くなってすぐはどうするのか。所定鑑定人が亡くなってすぐの場合。
あるいは体調優れず見てもらえない場合。あるいは、ある作家に関して「自
称鑑定家」の名乗りがあっても、一般に信用が無い場合。
また、実は「所定鑑定人」など、別段ハッキリしていない作家の方が多いの
です。「鑑定」がウルサくいわれるのは、あくまでもカナリのスーパスター
であって、その他の美術家については、江戸期以前の書画と同様、各美術商
の判断となります。その場合は、「その1」「その2」あたりで説明したよ
うに、「市場性」の要素を加味した「真贋」の判断・・・ということになり
ますが、古書画と違う点は、真贋の見分けが古いものほど困難でないことで
しょうか。あるいは、金額の高くないものについて、贋作をワザワザ作る人
もいないでしょうから、あまりシビアに問題のあるケースは少ないと思われ
ます。
(追加)現存作家の真贋確認が必要なケースについては、専属の画商に見て
もらうか、作家さん本人に確認することになります。これは当店はじめ信頼
の置ける美術商を通した方が無難でしょう。
(この稿、間違い(または偏見、凡ミス)等ありましたら是非ご指摘下さい)
本日は読んで下さいまして有難う御座います。
またお会いしましょう!
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