「墨堤美人之図」
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サイズ46.0×71.0(149.5×84.0)cm
素材絹本着色
備考軸装
落款・印
伝井上公爵家旧蔵
正徳~享保前期頃作
経年劣化
作品番号A2-93-285
キーワード美人画風景
作品解説
井上公爵家旧蔵と伝わる新発見の長春の横幅である。彼の立美人図で、このように実景が書き込まれているものは極めて珍しい。図中に「浅茅が■(原)」「関屋の松原」「隅田川」と地名が記される。「おせん」とある着物に笹を持つ姿は「物狂い」の記号。女性は能「隅田川」のヒロインに擬せられているのであろう。物語はこうだ。元公家の狂女は誘拐された男子「梅若丸」を探して、京からはるばる武蔵隅田川にたどり着く。一年前に此処で我が子が命を落とした事を知った女は、亡骸をまつる塚で、我が子を確かめようとする。亡き子の亡霊が一瞬あらわれて、消えてしまう。女はただ立ち尽くすばかりである。画面奥に描かれている寺は、今も現存する「木母寺」と思われる。塚を守り続けているのだ。
長春は肉筆専門で一切木版画を残さなかった。木版浮世絵は、しばしば歌舞伎の舞台説明をするのだが、その形の先駆けとも言えようか。芝居好きの数寄者の注文だったのかもしれない。(社長 田中千秋)
宮川 長春(みやがわ ちょうしゅん)
みやがわ・ちょうしゅん 天和2(1682)尾張~宝暦2(1752) 浮世絵師。菱川師宣や懐月堂派に学ぶ。また稲荷橋狩野家の狩野春湖にも師事したと推測される。版画制作をせず、一品制作の肉筆浮世絵を専門に、遊女や遊里風景、庶民風俗などを丁寧な彩色と筆致で描いた。
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