作品解説
この句は、扇面や短冊に最も多く揮毫された内の一つであり、その成立には良寛の父・以南の句「杯を干して眺むる秋日和」を念頭に詠んだとする説もある。本作は、曲折自在な線が不定形な扇面の制約を感じさず滑らかに紙面を移ろい、字行は円弧に沿い、時に大きな筆運びを見せながら、穏やかなリズムを醸している。快い韻律からは、雀舞うほのぼのとした稲田の実りを寿ぎ、変わらぬ安寧を願う良寛の姿が思い浮かばれる。
【読み】
秋(あき)悲与(ひよ)
理(り)世(せ)無者(むは)
-省略-
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良寛(りょうかん)
宝暦8(1758)越後~天保2(1831)越後 曹洞宗の僧侶、歌人、書家。号は大愚。俗名、山本栄蔵。出家後、備中玉島(現:岡山県倉敷市)の円通寺の国仙和尚に師事する。印可を受けた後、諸国を行脚し、生涯寺を持たず、無一物の托鉢生活を営む。その無欲恬淡な性格からか、老若男女を問わず、あらゆる階層から親しまれた。良寛は和歌の他、狂歌、俳句、俗謡、漢詩に巧みで、書も能くした。