各時代の日本の美意識を捉えた美人画の名手たちの作品を辿り、それらに通底する日本の美の本質を浮き彫りにします。
展示作家:池永康晟 岡本東子 大竹彩奈 蒼野甘夏 服部しほり 田口由花 宮﨑優 顧洛水
上村松園 鏑木清方 伊東深水 竹久夢二 他 物故作家
※催し最終日は午後6時閉場
営業時間、イベントの詳細は下記 阪急うめだ本店ホームページをご確認下さい。
受け入れようか、拒もうか、
覚悟の境は揺らいで溶けて、
揺れる灯りに目眩して、
囁く肢体は影に溶ける。
揺れ合いましょうか、口付けようか、
2つの小舟は波濤に果てて、嵐の泡に水押も溶ける。(池永康晟)
-「市上芸術」が再現されます-
「美人画ルネサンス」では池永康晟が提唱する「市上芸術」が再現されます。
絵画がメディアとプロダクトと融合して、大衆の日常と接点を持つ「市上芸術」をお楽しみ下さい。
Youtube : 池永康晟インタビュー「美人画ルネサンス」展@阪急うめだ本店【銀座ぎゃらりい秋華洞】
欲しくて欲しくて、やっと手に入れたと思っても、その手には何も残っていない。
どうしようもなく渇いている。
心が捕らわれ、また繰返す。手に入らないものへの執着を捨てれば楽になれるはずなのに。(岡本東子)
Youtube : 美人画ルネサンス2020「岡本東子」【銀座ぎゃらりい秋華洞】
日本画家。対象の本質を正視し、特に女性の内面を撫でるように丹念に描き出す。その筆力は、目に見えない温度や湿度、空気までも画面に写しこみ、幽玄な世界を作り上げる。濃密で不思議な吸引力を持った作品は観者を捕らえて離さない。
その人は日がな一日鼻歌を歌ったり床に寝転がったり、暇でしょうがない様子だったがどこか楽しんでいるようでもあった。「あの人はもうすぐ来る」と思い続けることが彼女を豊かにしているようだった。(大竹彩奈)
Youtube : 大竹彩奈・綺麗な人のありのままの姿を描いてみたい「美人画ルネサンス」展@阪急うめだ本店インタビュー【銀座ぎゃらりい秋華洞】
日本画の特徴とされるものが線で何かを表すこととするならば、その「線」の美しさで現代では右に出るものはいないのではないか、と思わせるのが大竹彩奈が女性を描く線である。慎重にさりげなく選びとられた線が、日本女性の色香を余すところなく表現する。日本画という技法がこれほど女性像を描くのにふさわしいものであったのかを改めて気づかされる彼女の作品たちは、まだそのドラマを始めたばかりである。
「いい人?彼がいい人でしょうって?あのね、いい人だなんて、そんな人いやしないのよ。あなたにとって都合がいい人だけをあなたはいい人って思い込むものなのよ。みんながそう言ってるですって?じゃ、みんながそう思い込んでるだけなのよきっと。あたしがどう思ってるかって?そうね、もし・・・・」(蒼野甘夏)
Youtube : 蒼野甘夏<女性画は物語>「美人画ルネサンス」@阪急 インタビュー【銀座ぎゃらりい秋華洞】
能舞台「海士」で使われる能面、泥眼をモチーフに描きました。
母である海士が/息子の出世の為に命を投げ打ちます。
そんな一人の女のこころを自分なりのイメージで描きました。
物語の女性を描くことで、新たな絵画表現を模索できました。初めて描いた女性画です。(服部しほり)
Youtube : 服部しほり<描くことはすべてのものへの恩返し>「美人画ルネサンス」展@阪急うめだ本店 インタビュー【銀座ぎゃらりい秋華洞】
この言葉の奥深くにある桃源郷を、わたしは静かに模索する。繊維からなる紙の上に、その真髄を手探り探る。
私は信ずる。線が要素でなくなる瞬間を、そのもののみで美を体現できることを。本当の意味で自由になること、そして豊かになることを。
絵の対象には常に、私の想像からは生み出せないような形がある。
それを観察し写し取る時の、小さな発見や驚きになるべく忠実でありたい。(田口由花)
Youtube : 田口由花 その人にしかない何かをすくいたい「美人画ルネサンス」@うめだ阪急インタビュー【銀座ぎゃらりい秋華洞】
しっとりとした潤いがありつつ軽やかな空気感をまとった女性、咲き誇る花々、時には虎や牛、猫などを日本画の技法で描く。
江戸や近代からの伝統的な日本画の技法を駆使しながら、自分ならではの表現を追求している。
「春光」が成人前、「春光Ⅱ」が成人後というイメージです。
同じ振袖ですが、少女の時はふくら雀、女性になって文庫結びと、着付け師さんに違いを出していただきました。
髪型や表情からも、違いを感じていただけると幸いです。(宮﨑優)
Youtube : 宮崎優 絵を描く時がいちばん自由「美人画ルネサンス」展2020【銀座ぎゃらりい秋華洞】
ただ女性の見た目の美しさを表現するだけでなく、写実的なフォルムから脱出し、自身の情念や熱意を作品に入れ込んで、観る人を揺り動かすような作品を作ることを目指しています。夢の中の自分が現実か現実の方が夢なのか?という現実と夢の関係を表現してみたいです。(顧洛水)
Youtube : 顧洛水、伝統と感情の組み合わせが楽しい「美人画ルネサンス」@うめだ阪急 インタビュー【銀座ぎゃらりい秋華洞】
梅の枝に御神籤を結ぶ女性。紙中に記した「南枝早春」は、陽光を目指して木々が枝を伸ばす早春という意味。この画題の作品もいくつか知られている。新年を寿ぐ画題だ。落款は「夢生」で、大正末期から、亡くなる昭和9年まで使われているので、夢二の晩年作とわかる。晩年の夢二は、本作のように、縦長の構図に女性と画讃を入れた作品をよく制作している。梅の枝から着物の柄まで、はなやかな赤で構成された色の流れが息を呑むように美しい。
本名一。中山秋湖、鏑木清方に師事。美人画において浮世絵の伝統のもとに現代風俗を主題とした新しい画境を築いた。帝展・新文展・日展審査員、日本芸術院会員。帝展特選、日本芸術院賞受賞。
手を休め、ふと見上げた先には梅の枝。唇にさした紅は花よりも赤く、彼女の顔をつややかに引き立てる。その手元にある和本を古今和歌集と知れば、こうした歌も想起されよう。
君ならで誰にか見せむ梅の花 色をも香をも知る人ぞ知る(紀友則)
春告草の香りに、彼女は誰を想うのであろうか。新しい季節の訪れが、胸を静かに高鳴らせる一幅である。