近年ますます注目が集まる河鍋暁斎、秋華洞所蔵の暁斎作品と、現代作家による暁斎へのオマージュ作品を通して、その魅力を広く伝えます。
展示作家:河鍋暁斎、岡本東子、平良志季、森謙次、木原千春、江田朋
とにかくうまい。なんでも描ける。仕事が早い。
それが明治の華、河鍋暁斎。
若い、才能のある作家と話していると、ときおり聞くのが「実は暁斎が大好きなんです」というセリフです。画家が惚れる画家。私達の実感です。
明治という変革期は、画家が食べていくのが厳しい時代でした。そのうえ暁斎は反骨的で、政府に投獄されてもなお、旺盛に仕事を続け、時代を生き抜きました。
現代も厳しい時代です。かつて価値観が否定され、新しい、本質的な美術が求められる中、若いアーティストたちは呻吟して時代の価値を更新しようとしています。
暁斎と現代のアーティストが時を越えて共感できる理由ともいえるでしょう。
暁斎を愛する若い美術家たちと暁斎の共演。是非、御覧ください。(秋華洞 田中千秋)
百万遍とは大勢の人が数珠を繰り回しながら合わせて百万回の念仏を唱える仏事。
大蛸は力を失った幕府(五本丸→御本丸→江戸幕府→大きいだけで骨なし)、それを攘夷派が取り囲んでいる。シャチホコは尾張藩、鍾馗は水戸藩という説がある。幕末の混乱する幕政の風刺。
苦界にあっても悟りを開いたと言う地獄太夫。泥の中に咲く蓮のように強く美しく、
生けるものと死せるものの間にいる存在。
その存在は死者を救済し、生者をより強く歩んでいけるようにと描かれたのかな、などと想像しています。
日本画家。対象の本質を正視し、特に女性の内面を撫でるように丹念に描き出す。その筆力は、目に見えない温度や湿度、空気までも画面に写しこみ、幽玄な世界を作り上げる。濃密で不思議な吸引力を持った作品は観者を捕らえて離さない。
日頃は暁斎の画集などを見て参考にしながら制作しております。
暁斎の技術力の高さを超え、笑ってしまうような作品の陽気なビジュアルコミュニケーションが
とても好きで、ただ芸術に尊敬するというだけでなく初めて友達になりたいと思った作家でしたので
感覚的な部分ですがそこが他の作家とは違うなと感じております。
吉原仲之町遊宴図の中に描かれている幇間を根付として制作。幇間はお客様(旦那)の機嫌をとり、宴席を仕切るのですが、宴席が白けそうになると体を張って恥をかく覚悟もあり、僕の理想の自営業の姿です。憧れも込めて作りました。背中に暁斎の蛙の印を入れたのは”蛙の面に水”という意味もあります。
手や指、布やティッシュなどを使って躍動感あふれる猫を描きあげました。
猫の表情やフォルムは暁斎らしく、外に広がる線としっぽで自分らしさを出しました。
河鍋暁斎の作中の柳に白鷺と梅に鴉の図をアレンジして、デザインした釜です。
線で押す柳の木や、肉出しをした鳥の体、面で押し出す梅の枝振り、様々な箆押しの技術を使い分けております。
鐶付は暁斎が所持していた鴉天狗の置物から発想しました。和銑釜の持つ肌の美しさと共に楽しんで頂ければ嬉しいです。