幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎。国芳に浮世絵を学んだ後、狩野派に入門し伝統的な官学派の絵画を学んだ暁斎は幅広いジャンルの無数の作品を残しました。
近年ますます注目が集まる河鍋暁斎、秋華洞所蔵の暁斎作品と、現代作家による暁斎へのオマージュ作品を通して、その魅力を広く伝えます。

展示作家:河鍋暁斎、岡本東子、平良志季、森謙次、木原千春、江田朋
幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎。国芳に浮世絵を学んだ後、狩野派に入門し伝統的な官学派の絵画を学んだ暁斎は幅広いジャンルの無数の作品を残しました。
近年ますます注目が集まる河鍋暁斎、秋華洞所蔵の暁斎作品と、現代作家による暁斎へのオマージュ作品を通して、その魅力を広く伝えます。

展示作家:河鍋暁斎、岡本東子、平良志季、森謙次、木原千春、江田朋
展覧会情報
展覧会We love 暁斎【終了しました】
会期2019年11月8日(金)〜17日(日)
会場ぎゃらりい秋華洞
時間10:00〜18:00
備考会期中無休 入場無料

とにかくうまい。なんでも描ける。仕事が早い。
それが明治の華、河鍋暁斎。
若い、才能のある作家と話していると、ときおり聞くのが「実は暁斎が大好きなんです」というセリフです。画家が惚れる画家。私達の実感です。
明治という変革期は、画家が食べていくのが厳しい時代でした。そのうえ暁斎は反骨的で、政府に投獄されてもなお、旺盛に仕事を続け、時代を生き抜きました。
現代も厳しい時代です。かつて価値観が否定され、新しい、本質的な美術が求められる中、若いアーティストたちは呻吟して時代の価値を更新しようとしています。
暁斎と現代のアーティストが時を越えて共感できる理由ともいえるでしょう。
暁斎を愛する若い美術家たちと暁斎の共演。是非、御覧ください。(秋華洞 田中千秋)

展示作品紹介
河鍋暁斎
河鍋暁斎「狂斎百狂 どふけ百万編」
河鍋暁斎「狂斎百狂 どふけ百万編」

百万遍とは大勢の人が数珠を繰り回しながら合わせて百万回の念仏を唱える仏事。
大蛸は力を失った幕府(五本丸→御本丸→江戸幕府→大きいだけで骨なし)、それを攘夷派が取り囲んでいる。シャチホコは尾張藩、鍾馗は水戸藩という説がある。幕末の混乱する幕政の風刺。

河鍋暁斎(かわなべ きょうさい)
天保2(1831)下総~明治22(1889)東京 絵師、浮世絵師。歌川国芳に師事し、その後駿河台狩野家前村洞和及び狩野洞白に師事。狩野派としてのアイデンティティを誇りながらも狂画を描き、政治批判をしたとして投獄される。出獄後は暁斎と号した。反骨精神に溢れ、画域の広さと技量には定評がある。
岡本東子
岡本東子「地獄太夫」
岡本東子「地獄太夫」

苦界にあっても悟りを開いたと言う地獄太夫。泥の中に咲く蓮のように強く美しく、
生けるものと死せるものの間にいる存在。
その存在は死者を救済し、生者をより強く歩んでいけるようにと描かれたのかな、などと想像しています。

岡本 東子(おかもと とうこ)
京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科日本画専攻修士課程修了。
日本画家。対象の本質を正視し、特に女性の内面を撫でるように丹念に描き出す。その筆力は、目に見えない温度や湿度、空気までも画面に写しこみ、幽玄な世界を作り上げる。濃密で不思議な吸引力を持った作品は観者を捕らえて離さない。
平良志季
平良志季「We love 暁斎」
平良志季「We love 暁斎」

日頃は暁斎の画集などを見て参考にしながら制作しております。
暁斎の技術力の高さを超え、笑ってしまうような作品の陽気なビジュアルコミュニケーションが
とても好きで、ただ芸術に尊敬するというだけでなく初めて友達になりたいと思った作家でしたので
感覚的な部分ですがそこが他の作家とは違うなと感じております。

森謙次
森謙次「幇間」
森謙次「幇間」

吉原仲之町遊宴図の中に描かれている幇間を根付として制作。幇間はお客様(旦那)の機嫌をとり、宴席を仕切るのですが、宴席が白けそうになると体を張って恥をかく覚悟もあり、僕の理想の自営業の姿です。憧れも込めて作りました。背中に暁斎の蛙の印を入れたのは”蛙の面に水”という意味もあります。

木原千春
木原千春「線を捕まえる猫図」 ―  河鍋暁斎 蛙を捕まえる猫図より
木原千春「線を捕まえる猫図」 ― 河鍋暁斎 蛙を捕まえる猫図より

手や指、布やティッシュなどを使って躍動感あふれる猫を描きあげました。
猫の表情やフォルムは暁斎らしく、外に広がる線としっぽで自分らしさを出しました。

江田朋
江田朋「烏鷺図布団釜」
江田朋「烏鷺図布団釜」

河鍋暁斎の作中の柳に白鷺と梅に鴉の図をアレンジして、デザインした釜です。

線で押す柳の木や、肉出しをした鳥の体、面で押し出す梅の枝振り、様々な箆押しの技術を使い分けております。
鐶付は暁斎が所持していた鴉天狗の置物から発想しました。和銑釜の持つ肌の美しさと共に楽しんで頂ければ嬉しいです。

江田朋(えだ ともや)
江戸初期から続く鋳物師の家に生まれた江田朋。伝統的技術により、茶の湯で使う釜を現代的にデザインする。お茶会でも使えて、なおかつアートとしても自立できる造形とはなにか。スリリングな造形に注目したい。