美人大首絵における表情や仕草で女性の内面まで描き出した歌麿、「東の清方、西の松園」などと称される隆盛を誇った近代美人画平成美人画のトップランナー池永康晟をはじめ岡本東子、中原亜梨沙などこれからの美人画の行方も伺える展覧会です。 

展示作家:歌麿、宮川長春、国貞、伊東深水、鏑木清方、竹久夢二、小村雪岱、甲斐庄楠音、島成園、
池永康晟、岡本東子、中原亜梨沙、他
美人大首絵における表情や仕草で女性の内面まで描き出した歌麿、「東の清方、西の松園」などと称される隆盛を誇った近代美人画平成美人画のトップランナー池永康晟をはじめ岡本東子、中原亜梨沙などこれからの美人画の行方も伺える展覧会です。

展示作家:歌麿、宮川長春、国貞、伊東深水、鏑木清方、竹久夢二、小村雪岱、甲斐庄楠音、島成園、
池永康晟、岡本東子、中原亜梨沙、他
展覧会情報
展覧会美人画の系譜【終了しました】
会期2018年5月25日(金)〜6月4日(月)
会場ぎゃらりい秋華洞
時間10:00~18:00 ※5月25日(金)のみ 画廊の夜会のため21:00まで営業
備考会期中無休 入場無料
画廊の夜会に参加しています。 
歌麿「当世好物八景 もの好」
歌麿「当世好物八景 もの好」
歌麿「当世好物八景 もの好」

美人画大首絵を生み出し、表情や姿態で女性の内面まで描き出した。
大胆な構図と確実なデッサン力に支えられた歌麿の美人画は江戸の庶民に熱烈に支持され、幕府から美人画大首絵の制作が禁じられるなど、その影響力は絶大だった。

ここがポイント
寛政年間に発刊された「錦織歌麿新模様」の中で歌麿は、「私の活筆によれば、どのように簡略に描いたとしても女性はみな西施(古代中国の美人)のように美しく魅力的なものになる」と書き入れている。

喜多川歌麿(きたがわ うたまろ)
宝暦3年(1753)?~文化3年(1806)
浮世絵師。別号は多数あり、豊章・石要・木燕・燕岱斎・紫屋などの例がある。『浮世絵類考』には「はじめ鳥山石燕門人にて狩野派の画を学ぶ」とあるが、初期作品において石燕の影響は顕著ではなく、筆法は勝川派風である。後に版元蔦屋重三郎の知遇を得て、天明後期から寛政前期(1800年前後)に掛けて同版元の多色摺による絵入狂歌本多数に作画し、刊行する。写実的な新境地をみせて次第に人気上昇。寛政3年頃には「美人大首絵」という新様式の 美人画 を発表。背景を雲母摺や黄潰しで処理した独特の様式で美人絵師の第一人者となる。
英泉「美人」
英泉「美人」
英泉「美人」

波乱の人生を送った英泉。士分の子として生まれ、仕官するが讒せられて流浪。この後、菊川英二宅に寄寓し、英山の門人格として画業に就く。
初期には 役者絵 そして、風景画も残しているが、なんといっても美人画 が英泉の本領。受け口気味の唇、独特の濃厚な色香を漂わせる美人画は一度見たら忘れられないインパクトがある。

渓斎英泉(けいさい えいせん)
けいさい・えいせん 寛政3(1791)~嘉永元(1848) 浮世絵師。菊川英山に寄寓し浮世絵を描き始める。退廃的な雰囲気をもった独特な美人画を多く遺した。北斎に近い作風の丹風景画にも定評がある。
鏑木清方「秋更くる墨田河原」(部分)
鏑木清方「秋更くる墨田河原」(部分)
鏑木清方「秋更くる墨田河原」(部分)

色づいた葉の散りゆく季節。冷たい風に吹かれながら遠くを見つめる女性と墨田河畔はどこか物悲げにうつる。
「姿といふと、腰から脚へ流れる線が、利きどころというべきであらう」と自ら記しているように、この作品でも腰から脚へと流麗な線が表されている。
二度目の焼け野原を経験した後に画家が目を向けたのは生まれ育った明治の下町であった。情緒的な雰囲気を醸し出す日本らしい秋の景色の中に和服美人の佇む美しさは、清方にとっての原点とも言えるものである。

鏑木清方(かぶらき きよかた)
明治11(1878)東京~昭和47(1972)神奈川 日本画家。本名健一。水野年方に師事。挿絵画家として身を立てる一方、本格的な日本画に取り組む。大正画壇の中心を担う第一人者として活躍し、東京の下町風俗や当世風の美人を終生描き続けた。帝展審査員。
小村雪岱「河岸」
小村雪岱「河岸」
小村雪岱「河岸」

下村観山、松岡映丘らに師事。
風俗考証に通じ、古画の模写を能くする。新聞などの挿絵画家として活動し、泉鏡花『日本橋』を機に装丁も手がける。映画舞台装置を考案するなど幅広く活躍した。
本作品はわかもと製薬の顧客贈呈用広告として作られたもの。

小村雪岱(こむら せったい)
明治20(1887)埼玉~昭和15(1940)東京 日本画家。本名安並泰輔。下村観山、松岡映丘らに師事。風俗考証に通じ、古画の模写を能くする。新聞などの挿絵画家として活動し、泉鏡花『日本橋』を機に装丁も手がける。映画舞台装置を考案するなど幅広く活躍した。
岡本東子「こころゆるび」
岡本東子「こころゆるび」
岡本東子「こころゆるび」

苦み、不安、鬱屈の解放を表しています。
自力であるいは他者によって解放された末の安堵。ただわずかに喪失感も伴うという不思議。(作家コメント)

岡本 東子(おかもと とうこ)
京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科日本画専攻修士課程修了。
日本画家。対象の本質を正視し、特に女性の内面を撫でるように丹念に描き出す。その筆力は、目に見えない温度や湿度、空気までも画面に写しこみ、幽玄な世界を作り上げる。濃密で不思議な吸引力を持った作品は観者を捕らえて離さない。