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「水の影」
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サイズ39.5×30.0(42.2×32.0)cm
素材紙に墨・銀泥
備考額装
画中にサイン
平成9年作
ヤケ
画中にサイン
平成9年作
ヤケ
作品番号A2-96-031
作品解説
紙の滲み、微細な墨の跳ねは、制作時の桃紅の筆運びまでもを想像させる。うっすらと輪郭を滲ませる墨の重なりは、筆に含まれるたっぷりとした水の存在を伝え、同時に波に揺らぐ水面を思わせる情景を作り出している。異なる墨の濃淡は水が生む影を写し、墨よりも下に引かれた金泥は水中にまで降り注ぐ穏やかな陽光をも連想させるようだ。墨の性質を熟知した桃紅だからこそ可能な詩情に満ちた表現が味わえる一作である。
篠田 桃紅(しのだ とうこう)
大正2(1913)~令和3(2021) 書家、美術家。本名、満洲子。ほぼ独学で書を学び、伝統的な書道から戦後は前衛的な墨象に移行する。昭和30年代に欧米に滞在し、各地で個展を開催を重ねる。「墨象」と呼ばれる水墨の抽象画が高い評価を得る。代表作に東京芝増上寺の壁画など。文章も能くし、同55年『墨いろ』で日本エッセイスト・クラブ賞。著書に『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』など多数。
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