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作品解説
伸びやかな緑の枝に、鮮やかな紅梅が目を引きます。平八郎にとって、紙の素地は色の一つでした。所々白を残した輪郭はモチーフ同士の重なりを表し、限られた色彩のアクセントとなっています。横から見た蕾や花びらはふっくらと盛り上がり、小さな粒状の蕊が愛らしいです。対象の特徴を捉えて簡略化した意匠的な構成は、独特の小気味よいリズムを生んでいます。
福田 平八郎(ふくだ へいはちろう)
明治25(1892)大分~昭和49(1974)京都 日本画家。京都市立絵画専門学校(現:京都市立芸術大学)卒業。第3回帝展で《鯉》が特選、以後京都画壇をリードする存在となる。写実描写に始まった作風は、形態や色彩を抽象化、単純化した方向に進み、日本画に新境地を拓いた。京都市立絵画専門学校教授、日展理事・顧問、帝国芸術院会員、文化功労者。
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Vol.76
2024「夏号」