作品解説
和田英作は、大正終わりごろから琵琶湖水系や富士山麓の自然美を生涯の主題の一つとして描いてきました。和田家は1945年の春、東京を離れ愛知県碧海郡知立町に疎開しますが、本作はその直前に描かれたようです。森の中に流れる小川の風景は戦争末期の禍乱の中で描かれたとは思えぬほど穏やかで、画面には静かな時間が流れています。
和田 英作(わだ えいさく)
明治7(1874)鹿児島~昭和34(1959)静岡 洋画家。東京美術学校(現:東京芸術大学)卒業後、渡欧してラファエル=コランに師事。帰国後は東京美術学校教授に就任、のちに校長を務めた。黒田清輝ら外光派の流れを汲んだ画風で、温和な色彩と大胆な筆触が特徴。帝室技芸員、文化功労者。文化勲章受章。