作品解説
たっぷりと水気を孕んだ筆が、三社託宣の神である天照大神(伊勢神宮)・八幡大神(石清水八幡宮)・春日大神(春日大社)の神号を揮毫する。三神はそれぞれ「正直」、「清浄」、「慈悲」の徳目を表し、神儒仏の三教融合の教義として室町前期頃から江戸末期にかけて広く庶民の間で普及した。民間信仰にもとづく様々な書画を手がけた白隠。豪放洒脱な墨痕は懐深く、衆生教化に努めた名僧の姿を彷彿とさせる。
【読み】
八幡大菩薩
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白隠 慧鶴(はくいん えかく)
貞享2(1686)駿河~明和5(1769)駿河 禅僧。臨済宗中興の祖。法名は慧鶴、諡号は神機独妙禅師、正宗国師。松蔭寺の単嶺祖伝のもとで出家。越後高田の英巌寺性徹のもとで「趙州無字」の公案によって開悟し、信州飯山の道鏡慧端のもとで大悟、嗣法となる。京都の北白川で白幽仙人にまみえて内観法を学ぶ。以後は地元に帰って布教に努め、禅の教えを表した書画を数多く描いた。『夜船閑話』、『槐安国語』などの名著がある。