日本美術のホットニュース、業界裏話など、
お届けします。株式会社秋華洞提供。
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■冬季休業のお知らせと、来る「丑年」
まずは、まずは、秋華洞の年末年始のお知らせです。
2019年12月27日(日)から2020年1月4日(月)
新年が5日(火)からの営業となります。どうぞ、
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来年は「丑年」でございますので、「牛」にちなんで、
東洋画の名だたる画家たちが古くから描き続ける伝統的な画題「
日本では伝・周文筆とされる、相国寺蔵の円窓に描かれた《
思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、それだけではなく、北斎が、長沢芦雪が描き、
奥深き「十牛図」の「そうだったのか」をご案内いたします。
◆概要「十牛図とは?」
「十牛図」とは、中国・北宋時代より伝わる禅の入門書です。
ある牧人が、本来の自分を象徴する牛を探し求め、
その過程で悟りをも超えた境地に至る様子を、
禅の高僧・廓庵師遠禅師による画図と漢詩の頌(じゅ)、
弟子の慈遠の序文から構成され、
いつもは穏やかでありながら、
時にコントロールすることができなくなる人の心と重なる所があり
「十牛図」では、
十枚の絵をまとめて「十牛図」
それぞれの場面を独立して描かれることも多く、
美術館などで牛の絵を目にした際、「あ!もしや!」
いただけるのではと思います。
では各場面をみていきましょう。
◆第一図 「尋牛」
まずは、牧人が牛を探している場面から始まります。
序には、自分が本来もっている大切なものから目を背け、
自分がもっていないものばかり探しているから、
ままでいるのだ、という内容が記されています。牧人は、
そして自分にとって大切なものとは何かを探す旅の入り口に立った
小平市役所HPより(外部サイトに飛びます)
平櫛田中作品《尋牛》
https://www.city.kodaira.
◆第二図 「見跡」
牛を探していた牧人は、牛の足跡を見つけます。
まだ牛の姿はみえませんが、
序には、経典を学んだものの、
できない時点では、まだ禅を理解するには程遠い、
経典や師の言葉によって、
◆第三図 「見牛」
牧人はついに牛を見つけますが、
序には、牛の鳴き声によってみつけることができたが、
やはり牛をみつけるのには必要だった、と記されています。
自分が望む姿に近づくためには、特別なものではなく、
求められる、ということです。
◆第四図 「得牛」
牧人がみつけた牛を捕らえる場面ですが、
序では、次のように説明されています。
牛は隙あらば逃げようとしたりする。
従わせるためにはムチを使わなければならない。
慢心せずに、自分の心を戒めるべきであるということでしょう。
◆第五図 「牧牛」
捕まえた牛が逃げないよう、飼いならす場面です。
序には、自分の悩みや迷いを認めることで、
牛を飼いならすためには手綱を離さず、
心の迷いがある段階では、
文化庁のHPより(外部サイトに飛びます)
雪舟《牧牛》
https://kunishitei.bunka.go.
◆第六図 「騎牛帰家」
牛を飼いならした牧人は、もはや手綱をもつ必要はなく、
序には、牧人と牛とが一体となり、
そもそも、牧人と牛つまり本当の自分とは同じものであり、
本来の状態だったのです。
物語のハイライトたる場面故でしょうか、
牛の背中でゆったりと笛を吹きながら帰路につく牧童の姿は「
として独立した人気を誇っております。
ぎゃらりい秋華洞でもこちらをご案内
円山応挙《牧童》
https://www.syukado.jp/list/
◆第七図 「忘牛存人」
家についた牧人がくつろぐ様子が描かれていますが、
牛のことを忘れているようです。
序には、牛は本来の自分自身を取り戻すための単なる手段であり、
雲が晴れて月が姿をみせるように、ただ隠れていただけである、
牧人は、
◆第八図 「人牛倶忘」
ここでは、牧人も牛も登場せず、何も描かれていません。
牛だけでなく、自分も忘れてしまったようです。序には、
悟りということ自体に迷いが生じるのだから、
と記されています。本来の自分や目標をみつけたならば、
悟りでさえも忘れた「空」の状態になります。
この思想を表現するのに全く何も描かないという驚きの手法(?)
◆第九図 「返本還源」
牧人や牛が描かれないかわりに、
序には、人は生まれた時は清らかな心を持っているが、
なってしまうため、何事にも執着せず、
と書かれています。まさに、本来の状態にもどり、
◆第十図
・入鄽垂手
入鄽垂手とは、町に出て教えを伝えるという意味です。
この布袋はかつての牧人です。序には、
仏教の戒律にしばられずに、人々の心を満たしていくだけである、
本来の自分を取り戻した牧人は、
「十牛図」は、
あらゆる悩み考えを捨て、全てのものから自由になり、
大乗仏教の思想を表す代表的な画題といえます。
日本でも禅の教えに共感し、大変流行った思想と画題です。
新しい年を迎えるにあたり、
嬉しく思います。
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末尾になりましたが、
今年一年のご愛顧、誠にありがとうございました。
まだ明日は開店しておりますが、
そして、来年こそ、
お祈り申し上げます。
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