日本美術のホットニュース、業界裏話など、日本美術をより楽しむための情報を
お届けします。株式会社秋華洞提供。
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◆カタログ66号発刊＆鏑木清方《岸の柳》によせて

まずは、秋華洞の夏季休業のお知らせです。
2021年8月8日（日）から8月15日（日）まで、夏季休業いたします。
休み明けは、16日(月）からの通常営業となります。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

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関東の梅雨は梅雨らしくなく、それでも明ければあっという間に
猛暑の気配でございます。
皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。
暑い夏はお部屋で涼みながら、美術鑑賞などいかがでしょうか…

というわけで、カタログ66　夏号発刊のお知らせでございます！
今号は増量ページの前号以上に、さらに分厚いカタログとなっております。
すでにお手元に届いている方も多いものと思いますが、
まだお試しでない方はこちらのメルマガの下の方のリンクから、
是非「お試しカタログ請求」をしてくださいませ。

ところで、一月ほど前、本最新号カタログの編集の真っ只中に、
なんとか会期最終日に滑り込んで、東京ステーションギャラリーでの
【コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画】展を
観覧してまいりました。

昭和のキャバレー王として知られる福富太郎さんは、一流の美術コレクターでもありました。
その愛蔵作品が一堂に会する圧巻の企画展は、美人画を中心とした有名画家の作品だけでなく、
福富さんの審美眼と愛によってすくい上げられ再評価されたとも言える
それまで美術史に埋もれていた作家たちの作品まで、一人の実業家の熱量を肌で感じる
圧巻のコレクションでありました。

福富さんか絵画をコレクションし始めたきっかけは、
太平洋戦争の空襲で家とともに父が大切にしていた鏑木清方の掛軸が燃えてしまった
ことによるそうです。そのころ13歳であった福富少年はその10年ほど後、
東京オリンピックの年から念願の清方作品を収集することとなり、
気にいった清方の絵を手に入れると、それを携えて清方の家を訪れたというのです。
いわば、清方の絵は福富さんのコレクションの原点。
会場でも《妖魚》を始めとした多くの清方の名作が並んでいました。

東京での展示は残念ながら終了していましたが、
東京の後、新潟、大阪、高知、富山、岩手と巡回する予定です。
おすすめの展覧会でございます。

※秋華洞店主　田中は生前の福富さんと交流をさせていただき、
美人画鑑賞の極意を学ばせていただきました。
よろしければこちらも合わせてご覧くださいませ↓↓
https://www.syukado.jp/interview/vol002/

さて、清方いえば、来春　2022年3月には国立近代美術館にて
大回顧展『没後50年　鏑木清方展』が催される予定で、
大きな企画展に伴って、ますます注目度を増しています。

そして、もちろん私どもも鏑木清方作品に注目して、最新カタログでは
【特集】『鏑木清方　―おもかげ慕情』と題しまして6点の作品を掲載しております。

その中から、表紙は《岸の柳》。
朝顔柄の清々しい水色の振袖を風にたなびかせて、小舟の上から本所の景色を
眺める美人。川辺の風を受けてなびく後れ毛を整えながら、眩しそうな視線を
彼方に投げかけるその姿が印象的な一幅です。
作品タイトル通り、題材は長唄『岸の柳』からとられたの

長唄『岸の柳』は、

「筑波根の　姿涼しき夏衣　若葉にかへし唄女が　緑の髪に風薫る
柳の眉のながし目に　その浅妻をもやひ船　君に近江と聞くさへ嬉し
しめて音締めの三味線も　誰に靡くぞ柳橋　糸の調べに風通ふ
岸の思ひもやうやうと　届いた棹に　

家根船の　簾ゆかしき顔鳥を　好いたと云へば好くと云ふ　
鸚鵡返しの替唄も　色の手爾葉になるわいな　しどもなや

寄せては返す波の鼓　汐のさす手も青海波　彼の青山の俤や
琵琶湖をうつす天女の光り　その糸竹の末長く　護り給へる御誓ひ
げに二つなき一つ目の　宮居も見えて架け渡す　虹の懸橋両国の
往来絶えせぬ賑ひも　唄の道とぞ祝しける」

柳橋の地名は、神田川が隅田川の合流するところに架けられた橋に由来する
江戸時代からつづいた由緒ある花街。
そこに生きる粋な柳橋芸者の姿でしょう、その麗しい姿を故事になぞらえた言葉を
羅列しながら、大川端（隅田川河畔）あたりの江戸情緒と夏の風物を歌い上げます。

長唄『岸の柳』の由来は定かではないようですが、
船宿近江屋の娘と恋仲の古着屋の息子が、心中未遂の後に助けられて
目出度く夫婦になったことを祝して（「君に近江」に船宿の屋号と「逢うみ」をかけている）
という説とも、鳴物師岸田伊左衛門が柳橋の近江屋の芸者とめでたく夫婦になった祝い
（柳橋芸者の「柳」と岸田伊左衛門の「岸」がタイトルの由来）、
という説があるそうですが、歌詞からはどちらの説かは読みとれません。
しかしながら、どちらもお目出度い由来には違いありません。
長唄と、そしてそれに取材した清方の《岸の柳》の瑞々しい描写にも、
そういった寿ぎの心地よさが川辺の夏の爽やかさとともに満ちているようです。

ところで、明治六年(1873)に柳屋梅彦に作詞され、三代目 杵屋正次郎に作曲された
この曲は、同年に太陽暦が採用されたため、旧暦で江戸風俗を写した最後の唄とも
言われています。江戸情趣とその香りを残した明治風像を愛した清方は、
はたしてそれを知っていたのでしょうか。
過ぎゆく時代の中で、清方の目には変わらずかつての輝きが写っていたの
かもしれません。

《岸の柳》と、次ページに掲載している《朝妻舟》とともに、
清方の作品には長唄や歌舞伎、芝居や文学に関わる題材が数多くあります。
両親ともに芝居好き、幼い頃から（生まれる前から）文芸に親しみ見巧者として
劇評にも関わってきた清方。その文学的素養に裏付けされた叙情を孕んだ作品群を
カタログにてどうぞお楽しみくださいませ。

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余談ですが、カタログが納品される日は、
秋華洞スタッフ総出で印刷会社さんのトラックから数台の荷台を使って
バケツリレーのように事務所へと運び入れるのですが、
一梱包（20冊）が重いのなんの。女性スタッフだと一巻きがやっと。
次の日は筋肉痛のスタッフ続出です。
とはいえ、沢山の作品との出会いを皆様に楽しんでいただきたい一心で
一冊一冊発送しております。

というわけで、
◆◆まだカタログをご覧いただけていない皆様へ◆◆
もし、ご興味がございましたら、
お試しとして今回のカタログを無料でお届けいたしますので、
是非お問い合わせくださいませ。

★ カタログお試しについてのお問い合わせは ★
https://www.syukado.jp/jp/support/catalog/mpmailec/form.cgi
E-mailはこちら　info@syukado.jp
あるいは、03-3569-3620まで、お電話下さい!

カタログの感想も、スタッフ心よりお待ち申し上げております。

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★新情報★
・銀座の画廊で働く社長ブログ
…店主田中も拝観しました
「福富太郎の眼」展を見てきた（改）↓↓
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山村耕花「梨園の華 十三代目守田勘弥のジャン・バルジャン」
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三代豊国（国貞）「雪月花の内　花曇」
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伊東深水「現代美人集第一集　口紅」
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