岡本東子個展「瞑色の夜にうまれ」
2024年12月6日(金)〜14日(土)
アートオフィスJC 田中千秋です。 みなさん、連休中はどちらかにいかれましたか。 私の方は、週末に、とある先輩に、六本木の「金魚」なるところに 連れて行って頂きました。 ちょっとびっくりしました。 店構えからして、たんにアヤシイ、オカマバーみたいなところかし らと思っていたら、演出は日本人が共有して持つ歴史の痛みと郷愁 をつく奥深いものであり、かつ、某超有名企業が納入したという、 エレベータ技術を応用した素晴らしい舞台装置とアクロバティック な踊りを巧に組み合わせた心憎い職人芸でありました。 かつ出演者の大半は「ニューハーフ」であり、彼らの甲子園とも呼 ばれるそうで、ようするに現代の見世物小屋的要素もあるのですが、 観光コースにも含まれているそうで、じじつ、東北などの、地方か らのお客さんが非常に多いようでした。 http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01khrsmgsr260e □■□■ 「日本美術そうだったのか通信」 Vol.11 発行 有限会社アートオフィスJC http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01kirsmgsr260e ------------------------------------------------------------ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■□ 真贋について その3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 真贋についてその1 http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01kjrsmgsr260e 真贋についてその2 http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01kkrsmgsr260e 前回ふれたように、流通上の仕組みとして、明治以後と、明治「未 満」とは、真贋の考え方が異なります。 「個人」とか「オリジナル」という事が尊重される「近代」が輸入 された明治という時代が、真贋に関する考え方の慣習を変えたのだ ろうな、という想像がつきますが、それは兎も角。 江戸期以前の品物については、こと流通上の意味においては「真贋」 というのは、誤解を恐れずにいえば、あまり重要視されません。 何故か。 「その1」でも触れたように、それは「真贋」という事が、ことの 本質として、絶対に「白」、絶対に「黒」といいきれない性質の事 だからといえます。(それは本質的には明治以降も同じですが、こ こでは一応のルールがあります。) むしろ古美術商がよく使う言葉は「いいもの」か「だめなもの」か です。つまり、市場で「いいもの」として通るか、あるいは通らな いか、という市場判断がある種の「判定」ということになります。 すなわち、非常に専門的に優れた画商・美術商、そして優れた目を 持つお客様を含めた「世間」で、「いいもの」=高価なもの、とし て、通るか通らないか、の方が問題となります。 一方で、真贋を、ある種の権威者が「言い切って」しまうことには、 ある種の危険性があります。 たとえば「真」のものを、「贋」と言ってしまう、と、せっかくの 本物が、「贋物」扱いで、遺棄されてしまうかもしれない。 それは文化的に言って、大分罪深いことでしょう。 逆に「贋」のものを「真」と言ってしまうと、新しく美術・美術史 を学ぼうとする人の眼を曇らしてしまう事になるでしょう。それは やはり美術史的損失と言わなければなりません。 ですから、美術商としては、(お客様や市場からの)仕入の際、 「これは○○で買える」「これは1000円でもいらない」という「表 現」が、真贋に対する意見の表明、という事になります。 これは「白」と思えば、白の値段、「マックロクロ」だと思えば、 黒の値段(500円)、灰色、と思えば、灰色の値段をつけることに なるでしょう。勿論数が最も多いのは「マックロクロ」で、目利き になるほど、「マックロ」の判断が瞬時につくようです。 さて、そうした前提がありながら、(まともな)美術商が、もし、 これは贋物です、とか、印刷です、と言い切るときは、かなりの自 信を持ってそういえるときでしょうし、本物です!と言うときは、 どうあっても「ゆずって欲しい」という時でしょう。 ただ、いずれにしても、美術商の「値付け」による間接的な「真贋 の表明」が、ある種の信頼性を持つのは、美術商はその値段で「買 う」といういわばイノチガケの意思表示をしているという事につき ます。 買う意志のない個人が、それがいかなる権威者であれ、この作品の 価値は、100万と言おうが、1億円と言おうが、それは架空の値段に すぎません。 ところが、美術商の付けた値段は、その値段で買う、という「生き た」値段です。高く買いすぎても、低く買いすぎても、結局、美術 商は生き残ることが出来ません。市場の価格を意識しつつ、真贋鑑 定を含めた判断を一瞬にして行う、審美眼--生活のかかった「目利 き」術なのです。 ....と、力が入ってしまいましたが、私の立場で書いても手前味噌 かもしれませんね。ただ、真贋に関しての判断の厳しい現実は、 「売買」の際にいちばん露わになる、という事は事実と言っていい と思います。 せんじつめていえば、古美術流通の現場では、「真贋性」よりも「 市場性」が重要である、「市場性」の中に「真贋性」が包摂される、 と言っていいでしょう。(小難しい言い方でスミマセン。。。) <この項はまた来週> ちなみに、美術史を巡る、学者のアカデミズムと美術業界の関係、 贋作の背景などに深く踏み込んだ小説 松本清張「真贋の森」 という作品があります。 この本は、本メルマガの読者様に紹介して頂いて、今、読んでいる ところであります。ドロドロした現実を描写するのに小説というシ ステムは素晴らしいですね。面白そうです。 ------------------------------------------------------- 本日は読んで下さいまして有難う御座います。 また明日! ((ご意見、お待ちしています。このメールへの返信で私に届きます。)) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− アートオフィスJC販売作品リスト http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01klrsmgsr260e 美術品無料査定・買取致します。 http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01kmrsmgsr260e カタログ請求はこちら http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01knrsmgsr260e 「書画・絵画鑑定マニュアル」ご請求はこちら http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01korsmgsr260e ★★「おんらいんぎゃらりい秋華洞」10月回廊予定で準備中! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行 有限会社アートオフィスJC http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01kprsmgsr260e TEL 03-3569-3620 FAX 03-3569-3621 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F 代表取締役 田中自知郎・田中千秋 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎ご意見、お問い合わせは、→ info@aojc.co.jp (このメールへご返信下さい!) ◎バックナンバーはこちら → http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01kqrsmgsr260e ◎マガジン登録、変更、解除→ http://k.c.cbz.jp/t/h4vn/si01krrsmgsr260e ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━