2010-05-11日本美術そうだったのか通信
『日本美術そうだったのか通信』Vol.215 美術品と国家の政策

2010/5/11発行

発行 株式会社 秋華洞 http://aojc.co.jp/
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お届けします。秋華洞提供。
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もくじ
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・ご挨拶
・企画展やります!『秋華洞 動物尽くし』
・社長メッセコーナー:千秋のそうだったのかニュース ~美術品と国家の政策~
・カタログ23号「春」よりご紹介 ~世を知り、和を描く 菊池契月~
・ネットで愉しむ秋華洞

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■□■ ご挨拶 □■□■□■□■□■□■

 今年のゴールデンウィークは気持ちのよい晴れの日が続きました。なにしろ7
日連続の晴天は50年ぶりだとか。天気がよくて休みだと、それだけで得をした気
分になりますね。個人的には雨降りの休日も嫌いではありませんが。

さて、今回も社長の“そうだったのかニュース”から新作のご紹介まで、内容盛
りだくさんでお贈りいたします。ぜひ最後までお付き合いください。

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■□■ 企画展やります!『秋華洞 動物尽くし』 □■□■□■□■□■□■

 来たる5月28日~6月3日、秋華洞では企画展『秋華洞 動物尽くし』を開催い
たします。期間中は動物をテーマにした掛軸や額装作品を多数展示予定。お近く
へお越しの際はぜひお気軽にお立ち寄りください。

詳細URL
http://www.syukado.jp/jp/gallery/2010dobutsudukushi.html

5月28日はイベント『画廊の夜会』が開催されます
http://www.syukado.jp/jp/gallery/2010dobutsudukushi.html

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■□ 社長メッセコーナー:千秋のそうだったのかニュース ■□

美術品と国家の政策

 第二弾の事業仕分けが今行われているようですが、幸いにも美術館のコレクショ
ンは「充実せよ」という「評決」が出たそうです。ただし「自前」で。
http://www.asahi.com/politics/update/0428/TKY201004270524.html

リンク先は時が立てば消えてしまうので、こちらにも転載しておきます。

朝日comより転載:「拡充OK」に文科相苦笑い 美術館事業の仕分け評決

「文化育成」に政治の側がある程度理解があることにはひと安心。しかし、日本
では美術品は継続して持ち続けることが難しいのが現状です。流通には消費税、
相続では相続税、公的美術館を除く寄付にも贈与税がかかってしまう、という仕
組み。個人の手元にあるものであっても、美術品はある意味共有財産的意味があ
りますので、どこか自分が預かる、という意識が必要ですが、その「意義」が税
法には全く組み込まれていません。動かす、引き継ぐ度に税金がかかる仕組み。

 一方で、「独立行政法人」となった各種国立美術館も、上のニュースでもある
ように、「自立」を求められて、美術品の「保存・修復」「研究」を行うお金と
時間が常に足りない状態と聞きます。

 何故か。自前の収入が増えるほど、「交付金」が減る、というジレンマのなかで、
職員の負担が増えるばかりという悪循環があると聞いています。

 美術館が「独立」させられた、小泉政権での「構造改革」は「勉強ギライ」の小
泉さんが決めた大雑把な「聖域なし」の方針の中でエイヤと決められたのでしょ
うが、本来、国家の手当が必要な機関にもほかの行政と同じ論理を当てはめたと
ころに無理がなかったか、検証するべきではないでしょうか。教育と文化は「経
済性」以外の目標を定めるべきでしょう。

 国内の文化政策を効果的に論評するには、海外の法律・現状などに具体的に詳し
くあたる必要があるので、一度調査してみようと考えていますが、漏れ聞いてく
る話だけ総合しても、「文化」にお金を落とそう、という国家の意思は薄弱なよ
うです。

 お隣の中国はスポーツにしろ、美術にしろ、「国家の威信」を前面に出すのに
臆さずというか、オリンピックの開会式などクドすぎる程でしたが、日本はむし
ろ淡白すぎる現状。どうしてこうなってしまったのか。どうしたら、文化に対す
る意識、あるいは「国」の意識が回復出来るのか。自民党も民主党も何らマトモ
な経済対策を打ち出せず、バラマキ手当てと人気取りの選挙対策(参院選はスポー
ツ選手だらけ。国民を愚弄しています。)しかできない現状につながっていると
思いますが、私たち国民のレベルがそうなのか、あるいは政治が特別に愚かなの
か。

そのあたり、今後考えていきたいテーマです。

田中千秋社長のブログ『丁稚ログ』
http://www.aojc.co.jp/blog/

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■□ カタログ23号「春」よりご紹介~世を知り、和を描く 菊池契月~ ■□

 美術品との巡り合わせはかくも不思議なもの。毎日舞い込む査定買取り依頼の
一方で、お客様に新たな作品をご紹介するカタログを作っていると、地上を転々
と旅する美術品たちの姿を想像してしまいます。

 今回はカタログ最新号の中から、No.44 菊池契月『後庭』をご紹介。

 菊池契月は明治12(1879)年に長野県で生まれました。同郷の児玉果亭に南画
を学ぶと、絵に寄せる想いはいよいよ強いものとなり、明治29年には京都に出て
菊池芳文の下、四条派の画法を学びます。その後持ち前の才覚と努力で受賞歴を
重ね、芳文の長女と結婚した契月は、得意とする歴史画はもちろん、次第に身近
な風物や人物へと、その画幅を広げていきました。

大正11年にヨーロッパ巡遊の機会に恵まれた彼は、フレスコ画やエジプトの古代
美術に触れ、帰国後は四条派の流れに独自の画法を取り入れた清楚で気品あふれ
る秀作を数多く生み出していきました。実の息子の嫁をモデルにした「少女」を
はじめ、契月の作品は日本の日本らしさ、素晴らしさを現代の人々に再認識させ
る力があるように思います。

『後庭』は、そんな彼が后妃とみられる気品に満ちた唐美人を描いた一作。はん
なりと笑みを浮かべた表情、柔肌を包む衣のくたりとした質感、后妃の透明感を
一層際立たせる腰掛け石の碧さなど、円熟期の契月の技が随所に光る逸品です。
表装も涼しげで美しく、これからの季節にぴったり。

こんな絵が床の間にかかっていたら、一日中見とれて過ごしてしまいそうです。

カタログ会員申込み または 今号のみ請求の窓口は↓まで。
https://www.syukado.jp/jp/support/catalog/mpmailec/form.cgi

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■□■ネットで愉しむ秋華洞 ~新着作品~ ■□■□■□■□■□■

□ 守屋多々志 『紅白梅』
小ぶりの額いっぱいに梅の花がほころぶ

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/jpn/A09-0654.html

□ 池田蕉園 『子の日』
いつの時代も子は宝なり。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A09-0619.html

□ 大心義統  『鶴・自画賛』
鶴のひと声。

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/fude/A10-0084.html

□ 小室翠雲 『春秋山水双幅』
都会の喧噪や慌ただしさを忘れさせてくれる対幅

http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A10-0115.html

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■□■ご感想をお待ちしております!■□■

最後までお読みいただきありがとうございました。
秋華洞メルマガ編集担当、林久美子がお送りいたしました。

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弊社は50年にわたり日本美術商として活躍した代表・田中自知郎が長男・
田中千秋と共に、平成15年に「有限会社アートオフィスJC」として設立され、
その後平成18年に「株式会社秋華洞」と商号変更致しました。

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