2005-04-18日本美術そうだったのか通信
Vol.44 NYその1

□■□■  「日本美術そうだったのか通信」 Vol.44
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
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<本マガジンの説明>
日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界
裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。
アートオフィスJC・秋華洞提供。
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アートオフィスJC・秋華洞の田中千秋です。
今、ニューヨークに来ています。

今週は、いつもの構成はちょっと捨てまして、NY報告に絞ってお届けします。

NYにお仕事やご旅行にで訪れたことのある方は数多いでしょうから、何をいま
さら感のある方も、おいででしょうが、その場合は軽く読み流してくださいね。

私としましては、アメリカ東海岸に来るのはこれが初めてでして、ぶっきらぼう
な黒人運転手の乱暴な運転に肝を冷やしながら、マンハッタン中央部のこのホテ
ルにたどり着きました。二日間を過ごしたところです。

NYというのは、非常に特殊なところだと思います。世界中でも特殊なところで
しょうし、アメリカの中でも特殊な場所でしょう。

成田からNYへの直行便で飛ぶと、アメリカ大陸を横断する形になるのですが、
私の見た範囲では、人のいる所、これすべて畑。そこに忽然と、これでもかっと
いう位に高層ビルでてんこ盛りのフシゼンな島があらわれるのです。

JFK空港の周辺にも、そう目立った建物はありませんが、マンハッタンに近づ
くと、突然ドカドカ、とビルが現れます。

日本の場合、とくに東京の場合は、のんべんだらりと中途半端なビル群がどこま
でもどこまでも際限なく続いた挙句、やっとこさ、田園と山々が広がるわけです
が(これも特殊だけど)、NYの場合、この限られた一帯に、すべての都会機能
が集積していることが一見してわかります。

そして、歴史のない街。都市というのは、迷路みたいな路地が一角にあったり、
無意味に古い建物があったり、どこか過去の面影をひきづっているところがある
ものだと思いますが、ともかく、道はキッチリ縦横に走り、何もかも人工的につ
くりこまれている。

この感じは、アメリカの他の都市(といっても私はLAとラスベガスしか知らな
いのですが)とも違うと思います。

・・・さて、閑話休題。作品情報をちょっと眺めてください。

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今週の新入荷情報
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■中村宗弘『秋林』(なかむらむねひろ・しゅうりん)
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40843py0c8uibi6bst
ごめんなさい、ちょっと季節はずれですね。でも季節は常に変わるもの。すぐに
秋は参ります。作品やあなたがこれから重ねるであろう年月を考えれば、季節な
どわずかな期間です。

中村宗弘先生は中村岳陵のお孫さんです。(父上は中村渓男(たにお)さんといっ
て美術評論家)

岳陵はさまざまな画題を試みた好奇心旺盛な画家でした。そして叙情性豊かな作
品を残しました。その岳陵の叙情性をうけついだのか、中村宗弘先生は、やわら
かな叙情性を持った山や森の風景画を得意としています。

彼が好んで描く、霧に煙る山々の風景。ちょっと東山魁夷を連想しますが、宗弘
作品の特徴は、ひとつは、色鮮やかでよりわかりやすい絵であることと、もうひ
とつは、遠景の霞の無効の風景の「ボケ味」に独特のテクニックが用いられてい
る点でしょうか。

価格的にもそこそここなれていますし、どんな部屋にもあわせやすい絵ですので、
やさしい風景画をお求めの方に、お勧めの作品です。

なお、本作はすでにご興味のある方がおりますので、お問い合わせ・ご相談はお
早めにお願いします。

☆作品は弊社画廊で御覧になれます。作品はそのもの一点限りですので、購入
をご希望される方はお早めにご連絡下さい。

■中村宗弘『秋林』
紙本着色額装
本紙 31×40 cm 額装51x60 cm
落款・印・ともシール
作品番号  A05-0008
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40844py0c8uibi6bst

<弊社開廊時間>
平日 10:00-18:00
土曜 10:00-18:00
(ただし土曜日は都合により閉める場合がありますので、事前にご連絡を。)

TEL 03-3569-3620 or 03-3569-3990
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F

弊社案内図
http://aojc.co.jp/corp/map.html

※平日にお越しの方には、当店自慢の美人秘書がお茶をお入れします!

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土曜スタッフ募集

土曜日のみの事務をしてみませんか。
土日お休みのOLの方などで、きちんと責任を持って勤めて頂ける方を、募
集致します。ワード、エクセル、HTMLの知識必須。オンラインショップ
と美術商の世界に興味がある方。ただし本気でやる気のある方のみ。
担当:田中千秋 03-3569-3620 info@aojc.co.jp
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(前半の続き)

養老 孟司の「唯脳論」風に言いますと、身体性をすべて剥奪して、ともかく脳
みそで考えたことだけで徹底的に固めた街、脳みそがひっくり返って露出した街
(養老さん的にはすべての都市が脳みそでできている訳ですが)、という感じが
非常にいたします。

とはいえ、これは第一印象。帰るときには、違うことを考えているかもしれませ
ん。。。

さて、昨日は大手オークション会社を訪ねて、日本人スタッフの方になんと半日
NY市内をつきあってもらったのですが、やはりここでは美術品にかけるお金の
感覚が違う、と実感しました。

メトロポリタン美術館にご一緒していただいたのですが、例えば滅多に出ない、
という抽象彫刻作家の作品。「これと同じ手の作品がオークションで2000万ドル
で落ちました。」2000万ドル・・・20億!

はっきり申しまして何の変哲もない?月型の抽象彫刻。たしかに立派な作品です
けれど、作者を知らなければ、日本では、せいぜい200万くらいのものじゃない
かなあ。

シュールレアリズムの旗手であった、マックスエルンストや、60年代のNYの街
角を異物的なものへの偏愛を交えて切り取った女性写真家ダイアンアーバスなど
の特集をやっていたのですが、その作品もこの作品も、オークションでさりげなー
く数10億円、数億円。やすくても数千万。

もうですね、「億」だと、「やすーい」という感覚かもしれません。ちょっと
「いく」ともう一桁超えてしまいます。

率直に言って、日本の美術品相場と、感覚が二桁違うと思いました。案内してく
れた女性は「だけど、ゴッホのひまわりを80億ぐらいで落札した日本の経済力は
すごかった」とおっしゃいましたが、それは瞬間風速的なバブル力。今は1億す
る横山大観が出るとすごいねー、という感じです。こちらでは100億を超えない
とすごいねー、とは思わないんじゃないでしょうか。

(注:上の数字は資料で裏を取っていませんので、感覚的なものだと思ってくだ
さい)

このように、世界の経済力が集中している象徴の都市、という意味でも、NYは
非常に特殊な地域ではないかな、と思うのでした。

・・・長いメルマガは嫌われそうなので、そろそろ終わりにするべきかしら。

メトロポリタン美術館について少しだけ。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40846py0c8uibi6bst
(セントラルパークに隣接するNY、否、世界を代表する美術館)

この美術館の特徴

・「順路」がない。ほとんど「迷路」。
・「特集」はタダ。日本の国立博物館のような別料金をとらない。
・写真撮影、模写は原則的に自由。
・ものすごい価値の作品(ピカソ、マネモネコロードラクロワドガルノワール…)
が、無造作に裸でかけてある(ショーケースなし)

メトロポリタンの特徴、というよりも、日本以外の美術館の特徴、というべきか
もしれませんけれども。

あきらかにセントラルパークに遊びに来た人が、その延長線上で、ピクニックに
美術館を散策している、という感じの客層でした。「順路」というものがなく、
好きなように好きな部屋を見て回れる構成。

未来の美術家を育てるための、模写自由という好環境。

特別展が別枠でないので、常設展にも人が自然に流れる。

など、日本の美術館(とくに東京国立博物館)も、ぜひ参考にしてもらいたいな、
と感じました。

ちなみに、日本美術のコーナーでは、「狩野派」を特集しておりました。狩野派
は、桃山から江戸にかけての権力者の御用絵師に一派で、江戸中期以降マンネリ
化しましたけれども、初期は非常に精力的に活動、異彩を放ちました。

さて、妙心寺・天祥院が火災でひどく損傷したときに手放した狩野山雪の襖絵
4枚一組が2セットあるのですが、片方をメトロポリタン、もう一方をミネアポ
リス美術館が購入したそうです。

今回はミネアポリスから片割れを借りて、山雪襖絵の再会(re-united)を記念し
て、狩野派展を開いた、との経緯。

かなり地味な展示、と「きもの人」というサイトの日記コーナーで読んでいた
(暗い、と表現していたかな)ので、心配?して行きました。

たしかに、狩野派の山水の屏風が多かったので、幾分地味なかんじがしました。
が、河鍋曉斎(一応狩野派の末裔)のド迫力の鷹の絵や、珍しい、英一蝶(はな
ぶさいっちょう)の雅楽の踊り(?)の絵などありまして、これはホントに一蝶
なのかしらん、とも思いましたが、それなりに興味深い展示だと感じました。

「目玉」の狩野山雪の梅の屏風は、枝振りがほぼ垂直水平・直角に折れ曲がるカ
クカクでぶっとい梅図。「ありえない」梅ですが、そうとうな迫力。畳の間の奥
に襖絵空間を再現していましたので、ちょっと遠目にしか見られない点は残念で
したが、十分狩野派の真骨頂を表現していたのではないでしょうか。

メトロポリタンの懐はかなり深い、と踏みましたので、日本美術の展示も、今回
の特集にとどまらず、さまざまな切り口から行ってくれていることを期待してい
ます。

いろいろとおもろいことがいっぱいですが、もう書ききれないので、おしまい!

BLOGにも
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書いて行きますので、よろしゅうお願いします!

以上、また来週。。。

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弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界
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