□■□■ 「日本美術そうだったのか通信」 Vol.48
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
http://aojc.co.jp/ アートオフィスJC
http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞
現在発行部数2,827通(独自配信306 まぐまぐ 2,479 melma!42)
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<本マガジンの説明>
日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界
裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。
アートオフィスJC・秋華洞提供。
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大分暖かくなってきましたね。
もう冬物の背広は片づけようか、という感じです。
アートオフィスJC・秋華洞 田中千秋です。
先週お知らせした「鑑定マニュアル」ですが、ご請求を非常に多数いただいた
のには、いささか驚いています。実際のところ、怒濤のようです。一日に30
通位。大会社ならいざしらず、私どもにとってこの数はタイダルウェーブ(津
波)。
そして、感想のメールも続々届いております。
どちらかといえば地味な作りの本ですので、みなさんどう思われるかと心配
していたのですが、思った以上に非常に好意的に受け取って頂いたようです。
最近は、「鑑定」番組などで、書画、絵画に興味を持った方も多いと思いま
すが、案外、何を根拠に真贋および価格を査定しているのか、一般の方には
サッパリわからない、という場合が多いのではないでしょうか。おそらくそ
うした知識へのニーズを満たす書物が少ない、という「需要」がハッキリあっ
たのだと感じました。
非常に多くの感想をお寄せ頂いたので、なかなかお返事が追いついておりま
せん。お返事が届いていない方、申し訳ございません。また、万一、ご請求
頂いたのに「マニュアル」が届いていない方がいらしたらお知らせ下さい。
即対応致します。
とまれ、著者の父には見せるようにしておりますし、なるべく猪山や私でお
返事していきたいと思いますのでどうぞこれからも感想をお寄せ下さい。
(ご感想を一部ご紹介していきたいのですが、まだみなさんのご承諾を取って
いないので、来週以降に掲載致します。)
これからもご請求が増えることが予想され、あまり無料でたくさん印刷すると
私どもの鼻血が出る、という効果もあり、もう少し内容をふくらませて書籍と
して販売することも考えていますが、さしあたっては今しばらく私どもの「会
社案内」がわりに無料配布したいと思います。
そろそろ、最初に印刷した分は、なくなりそうな勢いですが、ご入用の方は
以下でお早めにご請求下さい。
『書画・鑑定マニュアル 混迷と誤解に満ちた「鑑定」の核心にせまる』
無料請求は下記のURLでお願いします。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40bvz3z0c8bm7ksm82
(品切れの際はご容赦下さい)
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今週の新入荷情報
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と、いうわけで、本の発送に追われて、「弱小会社」アートオフィスJCと
しては、入荷した作品のウェブサイトへのアップが全く追いついておりませ
んが、現在以下の作品が入荷しております。
滝和亭「布袋」日本画・軸装
須田剋太「三人」彫刻
青山亘幹「舞妓」日本画・額装(6号)
穐月明「芙蓉」日本画水墨・軸装
小杉放菴「遊禽」日本画・軸装
今尾景年「桃花小禽」日本画・軸装
天田愚庵「書」軸装
(順不同)
いずれも近日中にアップしますので、お待ち下さい!
さて、本日ご紹介できるのは以下の一品。
■久保嶺爾『明日香野』(くぼれいじ『あすかの』)
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40bv03z0c8bm7ksm92
秋華洞、初登場の久保嶺爾先生の小品です。
嶺爾先生は下保昭先生を師としており、下保昭先生独特の水墨調を主体とし
た作品も見かけますが、一方で、本作のようにやさしい明るい風景画を多く
描かれています。
画題の「明日香」は奈良県の太古の都、「明日香村(飛鳥)」に材をとるの
でしょうか。おそらく春先の風景なのでしょう、ピンクに色づいた木と新緑
の木々が混じり合い、0号のごく小さな空間に微細な陰影を与えています。
もしこれが奈良の「明日香村」の風景なら、湖はあるのでしょうか。確認のた
めだけに先生に電話をかけるのは気が引けるので、これが「明日香村」の風景
かどうか、ご存知の方は教えてください。
参考:「明日香村」ファンクラブ
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40bv13z0c8bm7ksm92
ポートレイトや風景を撮るときに、曇りの日はやさしく光が廻り、色が画面
全体に描写できて有利なのですが、この風景も画面上部と湖水に映る空は曇
天のようです。そして、湖水にはわずかに風がおこす波頭が立っています。
5月のこの瞬間にも、日本のどこかの野山で、こうしてひっそりと新緑の木々
を映す湖水に、風がわたっているのでしょう。
久保嶺爾『明日香野』
紙本着色・額装
本紙13.0×17.5cm、額装34.5×38.5cm
落款・印・共シール
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40bv23z0c8bm7ksm92
おんらいんぎゃらりい秋華洞の分類
「種別:日本画」「大きさ:ワンポイント」
「テーマ:風景」「価格帯:10万円以上」
☆作品は弊社画廊で御覧になれます。作品はそのもの一点限りですので、購入
をご希望される方はお早めにご連絡下さい。
<弊社開廊時間>
平日 10:00-18:00
土曜 10:00-18:00
(ただし土曜日は都合により閉める場合がありますので、事前にご連絡を。)
TEL 03-3569-3620 or 03-3569-3990
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F
弊社案内図
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土曜スタッフ募集
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土曜日のみの事務をしてみませんか。
土日お休みのOLの方などで、責任を持ってきちんと勤めて頂ける方を、募
集致します。ワード、エクセルの知識必須。HTMLの経験があれば尚可。
オンラインショップと美術商の世界に興味がある方。ただし本気でやる気の
ある方のみ。
また、インターン的に弊社で働いてみたい方もあわせて募集します。業務内
容はカタログ発送などの雑用、HP更新など。日本美術に関心のある方、美
術商の世界に興味のある方、オンラインショップを自分でもやってみたい方、
などにはお勧めです。文章の書ける方、HTMLが書ける方、ワード、エク
セルの使える学生さんなど。スタッフ本採用の可能性もあり。明るくて真面
目な方を求めます。週10時間以上勤務できることが望ましい。
いずれも時給は1000円以上。能力を勘案。
勤務地は弊社オフィス。その他応相談。
営業時間月〜土10:00-18:00の中で来られる時間で。
担当:田中千秋 03-3569-3620 info@aojc.co.jp
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読者の声特集
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さて、今週はいただいたメールをいくつかご紹介させて頂きたいと思います。
編集の都合で一部だけの引用になっておりますが、どうかご容赦下さい。
K様(女性)
> 私は、一応芸術大学の洋画科を卒業しておりまして、
> 美術が好きで、よく展覧会に行ったり、最近は自分で簡単なドローイングなどを
> 描く趣味もあります。
私は、描くほうは全くダメですので、絵描きの方しかもてない視点がきっと
あるだろう、と思い、野球をやったことのない人にとっての野球のように、
きっと自分には欠けている視点があるだろうと思っています。きっとKさん
は各作品のタッチや背景により深い洞察や味わいがあるのではないでしょう
か。
> 近頃は、仏教美術にも興味を持ち、京都へ仏像を見に行ったり、東京へもこの
> あいだ、国立博物館へ唐招提寺展を見て参りました。
> 美術商の方に、このような私的な趣味の話などして、申し訳ないのですが、この
> ような文になってしまい、すみません。
いえ、とんでもございません。美術というものが読者の方にとってどのよう
な位置の物なのか、興味がございます。どんなことでも軽くお話しいただけ
れば幸いです。
美術館にも様ざまな人が来ていて、真剣に見入る人あり、ウンチクを奥さん?
に話すお父さんあり、ですが、みなさんはどのような意識で目的で美術をご
覧になっているのか、直接たずねるわけにはいかず、でも知りたいところで
す。
> 前回のニューヨークへ行ってこられたという、内容のメールマガジンがとても
> おもしろかったです。行ったことのない国のアート事情について、知ることができ、
> たいへんうれしく思います。
ありがとうございます。ああした個人的な感想というものが案外お役に立つ
とすれば嬉しいです。
ちなみに、私の行ったガゴーシアンギャラリーの存在は、オークション会社の
スタッフの方に教えていただいたのですが、ある日本の美術雑誌に「もっとも
美術シーンに影響を与えた人物」としてベストワンにガゴーシアン氏が挙げら
れていました。あの倉庫地帯の、ぶっきらぼう or Cool! な空間の主が、世
界美術への影響力を持つのですねえ。ふーん。
次は成松様から。
以下私の文章の引用です。そうだったのか通信45号より
>>「ボストン美術情報 ボストン美術館
>> 美術に関しては、日本近代美術の父である岡倉天心が肝いりで作っただけ
>> あって、刀剣、仏像、近世の絵画作品まで、非常に豊富な所蔵品と深い知
>> 識を伺わせる展示で、天心の魂はまだここにあり、と思わせる内容に私は
>> 感動してしまいました。ただ、天心が指導した、日本の近代以降の美術が
>> 全く触れられていない点は残念ではありました。」
以下成松様のご質問。
> 上記の「ただ、天心が指導した、日本の近代以降の美術が全く触れられて
> いない点は残念ではありました。」の意味が私には理解出来ないのですが。
> 例えば焼き物では、桃山を越えるものは近代にはありません。
(中略)
>日本の仏教美術も刺激的ですが、このすばらしさを理解出来るのも日
> 本人よりもアメリカ人(一般美術愛好家において)ではないかと思います。
> そういったことを考えますと、アメリカの美術館に是非、欲しいと思わせ
> る作家、作品が近代にあるのでしょうか。ボストンは予算の関係で近代の
> 作品を購入出来ないのか。それとも、メトロポリタンのように欲しいもの
> がないだけのことなのか。
(中略)
>千秋さんなら、近代のどういうジャンルのどうゆう作家ならアメリカの美
> 術館が是非、欲しいと思うと思われますか。また、現在、日本国内の公的、
> 私的美術館に収まっていず流動的な作品では、どうゆう作家作品を入れて
> みたいですか。
かなり鋭いツッコミにタジ、タジであります。
ごく冷静に言って、ボストンが持っている作品で、「近代」のものは、西欧
文化圏のものですし、ものであるべきでしょうから、日本近代美術が紹介さ
れていないのは当たり前だと思います。
さらに、「天心」以後の日本近代日本画・洋画の歴史、つまり西欧近代と日本
伝統絵画の葛藤・相克、と各芸術家のとった方向、というものは、まあアメリ
カにとってはあまりに日本ドメスチック(日本内輪)なテーマであって、興味
のないテーマかもしれません。
けれども、「天心」の育てた作家たちの流れ、すなわち、菱田春草、横山大観
から始まり、安田靫彦、小林古径、速水御舟など、日本が近代のなかでたどっ
た深い精神性など、むこうの人にも、紹介したいな、と思ったりもします。ボ
ストン美術館の日本美術展示と日本美術院は天心の遺した二人の子供のような
ものだもの、交流があってもいいじゃない、という、たんにセンチメンタルな
感想として。
的はずれな欲望なのかな。
それはともかく、成松さまには大変長文の、しかも美術業界にきわめて詳しく、
かつ情熱あふれるお便りを何度もいただいています。また、単なるブローカー
になるな、というハッパもかけていただきました。まだまだ半可通の私にはち
ょっと受け止めきれない程の濃い内容でしたけれども、色々勉強になりました。
ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
次は尾池様からのお便りです。
> 実は久しぶりに貴ページを拝見したのですが、
> 須田剋太画伯の書というようなものもあるのですね。
> お書きになっているとおり、司馬氏の著書でのみ拝見していたもので、
> ある意味『絶版』してしまった紀行文の続編を見た気がしました。
そうなんです。須田剋太は書もたくさん遺しています。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40bv43z0c8bm7ksm92
の書の表面に油絵の具が飛び散っているのでもわかるように、油絵を制作する
傍らで、書も書いていたのでありましょう。以前にも紹介しましたが、書の言
葉も「断絶」とか「悪霊」とか、なんかもう気持ちのいいくらい売れる売れな
いと関係ないところで、自分の精神性を表現しようとしていて素敵です。
須田剋太が好きな人は、よく「元気が出る」と、おっしゃいます。油絵もさる
ことながら、書にも当てはまると思います。死後も絶えず人に元気を与え続け
る。芸術家という仕事は魅力ありますね。
>
> ところで、バックナンバーの領域をお持ちなのですね。
> 今朝、ひととおり拝見致しました。
> 週2回程度の発行となると、相当負荷がかかることと思います。
> 無理せず、楽しい続編を期待しております。
はい、最初のウチは毎日!出そうとして、挫折しました。現在は週一でもヒイ
ヒイ言っていますが、メルマガは私どもにとって命!と思っていますので、頑
張って出し続けます。
「鑑定マニュアル」がきっかけで、メルマガの読者数も、いただくご感想も、
どっと増えてきたようです。楽しんで頂ければ何よりです。
なお、先週お知らせしたとおり、バックナンバーページの整理を進めています。
でき次第、お知らせします。
>
> オフィスの名前の経緯を書かれていましたが、
> そもそも『千秋』というお名前自体、ひょっとして『千秋文庫』にでも
> 仕事柄お父上の何か思い入れでもあったのでしょうか。
> 亡くなった祖父が佐竹本の話を子供の私にしていたことを覚えています。
> 当然、持っていたはずはありませんが。。。。
『千秋文庫』とは、東京都千代田区九段上、山種美術館のそばにある、佐竹家
伝来の品を所蔵する美術館ですね。
http://k.d.cbz.jp/t/h4vn/40bv53z0c8bm7ksm92
多分、僕の名前と、この文庫は関係ないと思うのですけれども、もう亡くなっ
た名付け親の祖父には、聞くすべもありません。(名付けは祖父なのです。)
この祖父は古書が大好きで、「思文閣」古書店(書肆思文閣)を興した人です
ので、もしかしたら関係があるのでしょうか…。私は7人兄弟の末っ子であ
る父・自知郎の長男ですので、ええい、面倒くさい、秋に生まれたから、千秋
だ、とつけた可能性も・・・などと言ったら祖父に怒られそうな気がしてきま
した。
そのほか、たくさんの方に、本メルマガや、「鑑定マニュアル」のご感想をい
ただいています。本当に有り難うございます。
今後とも、みなさんに日本美術が身近に楽しく感じられる情報をご提供してい
きたいと思いますので、よろしくお願い致します。また一方で、非常に未熟な
私ですので、間違っている点などございましたらご遠慮なくお叱り下さいませ。
では、また来週!
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このメールへの返信で私に届きます。
あるいはこちら⇒chiaki-magazine@aojc.co.jp
投稿いただいたメールは、本メルマガに掲載する場合があります。(勿論事
前にご承諾を得てからの掲載になります。)
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最後までお読み頂き有り難うございました。
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近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る
まで、あらゆる分野で活躍した画家・高僧・武将・文人・歌人・俳人の手に
よる絵画・書蹟、時代屏風、絵巻、古文書、古写本、古版本、稀覯本(きこ
うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって
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弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界
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