□■□■ 「日本美術そうだったのか通信」 Vol.54
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
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日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界
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アートオフィスJC・秋華洞提供。
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降りますねえ、雨。
東京は今日は梅雨らしい雨です。ホントウはもっと降らないといけないので
しょうけど。
こんばんわ。
アートオフィスJC・秋華洞の田中千秋です。
突然ですが(いつも突然)、世襲について。
この業界に入ってみて、思ったこと。
世襲が多い。
非常に多くの美術商が、店を世襲でついでいるようです。
美術商は、ほぼすべて、中小企業で、中小企業の多くが世襲であることを考
えると、不自然でもなんでもありません。
○田美術、というお店があると、○田タロベエさん創業(物故)、今の代表
は、○田太郎さん65歳、、そこで働く息子の○田次郎さん(35歳)は、
暗黙のうちの時期社長、と、いうようなパターンが多いようです。
(例外も多いですが。)
私どもの場合は、親子でやっていながら、会社を作ったのはつい一昨年、一
方で、父はベテラン、というこでして、老舗+ベンチャー ÷ 2、の会社、
世襲ということでは、変則的世襲であります。
ホントのことを言うと、世襲、というのは良くない、と思っておりました。
だってヤですもん。自分が会社に入っても、なんぼ努力しても、絶対社長に
なれない会社に入るのは。そういうのって近代的じゃないんじゃない?と思っ
ておりました。
それに、最初っから社長になるとわかっている若造が入ってきたら、他の社
員はチヤホヤするでしょう?すくなくとも、自分がそういう環境におかれた
ら、天狗になる、と思います。
けれども、この業界には、ちゃんとそれを予防する仕組みが出来ておりまし
た。それが「丁稚」制度です。親が、超安月給で、信頼できる同業者のもと
に「修行」に出します。で、育ってきたら親元に帰す。お互いの信頼関係の
厚いこの業界ならではの慣わしです。
私の父の場合、世襲させよう、という気は全くなく、私も一緒にやろう、と
いう気も毛頭なく、私は物理学者か映画監督になりたいと思っていましたの
で、目出度く、ぜんぜん違う世界をさ迷い歩きました。
自主映画、酪農、IT。
で、今は、なぜか、父と仕事をしています。自分の肉親と仕事をすると、い
いことがあります。
会話ができることです。
男同士ってですね、趣味が合わないと、会話って成り立たないんですよね。
子供から青年期を通して、父親と真剣なハナシを一度もしたことがなかった
です、私の場合。
けれども、仕事はやはり真剣勝負ですから、一応マトモに会話する。しかも、
父親の仕事の能力を目の当たりにする。まあ、正直見直しますよね、親のこ
とを。
そこで、一応の結論。
歌舞伎の世界など、伝統芸能の世界など「世襲」が当たり前の世界など、
「窮屈」だろうなあ、と創造したり致しますし、前記のように、いろいろと
弊害もあるかとは思いますが、一方で、子供を謙虚に育てる仕組みなり、考
え方なりを整備しておけば、「親子」で仕事を継ぐこと時代は、「家族」の
コミュニケーションとして、最高のことではないかとも思いますし、「技術」
の継承として非常にスムーズだとも思います。
たしか「SONY」は世襲ではないが、「西武」はいうまでもなく世襲、
「トヨタ」はやや世襲、「ホンダ」は世襲主義否定だが息子さんは関連会社
にいらっしゃる・・じゃなかったでしたっけ(間違っていたら訂正します)。
「柿右衛門」「今右衛門」「楽」など、陶芸の世界は、世襲の世界ともいえ
ます。
「世襲」をとるかどうかは組織の理想、方向性を決めるひとつのキーですね。
美術商、という仕事はマーケットの規模からみて、中小企業以外ありえない
ですので、家族経営がわりあい自然ではありますが、さて、組織の理想とし
て「世襲」は如何にあるべきなのでしょう。
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今週の入荷情報
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■平松礼二『さくら月図』 (ひらまつれいじ・さくらつきず)
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-0029.html
安井曽太郎。杉山寧。高山辰雄。そして、平松礼二。
ピンと来た方はそう、これは雑誌「文藝春秋」の表紙絵を担当した画家たち
の名前です。
参考:文藝春秋HP
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/index.htm
日本の絵画の歴史に大きく名を残した巨人たちの後をついで、平松先生は平
成12年から、文藝春秋の仕事をしています。(以下、敬称略)
その「日本画」的であることを強く意識した絵柄は、もうおなじみではない
でしょうか。
「日本画」が、「日本画」である、ということの存在理由、を見出すことは
現代では大変なことではないか、と思います。
なぜなら、暮らしがプラスチックとコンクリ、鉄・ガラス、洋服、で覆われ
ている中で、日本画的「テーマ」のリアリティをつかむのが難しいから。
その中で、平松礼二は、日本的「様式美」の世界を画面に作ることに、道を
求めているように思えます。春夏秋冬、花鳥風月、と(たとえば琳派的)抽
象装飾表現の組み合わせ。
非常に華やかで、心惹かれる方が多いのではないでしょうか。
参考:平松礼二アートディクショナリー
http://www.reiji-hiramatsu.com/
さて、本作。
華やかな枝垂桜が、満月にまぶしく照らされています。
本図は、実はとても凝った作りになっています。やや暗い場所で一見すると、
「月」はどこにもみえません。
しかし、実は光線の具合で、銀白に光る月が桜の花の下から、浮かび上がっ
てきます。
ウェブサイトの表現では、明らかにまん丸の月が見えますが、肉眼では、ほ
のかに銀色の月が浮かび上がる、微妙な表現となっていまして、「銀」の地
と絵の具の反射率の違いを生かした、なかなか洒落たつくりです。
さて、現代日本画家の作品のほとんどが額装向きの作品を作っているなかに
あって、本作は最初から掛け軸になることを意識して描かれた作品です。
銀地に、墨と青を使って描いた枝と、ピンク、白の花。シンプルな色構成で、
絵の具が厚塗りにならないように、そして、色面構成が強くなりすぎないよ
うに、配慮されています。
平松は「路シリーズ」で花と空、木々を、非常に色とりどりの鮮やかな色調
で描きましたが、本作は、シンプルな構成でありながら、それらをしのぐ華
やかさを備えた作品だと思います。
平松礼二『さくら月図』
紙本着色軸装
本紙40.5×52.5 cm 総丈140.5×67.0 cm
印・共箱
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-0029.html
■山村耕花『金魚』 (やまむらこうか・きんぎょ)
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-0037.html
たらしこみで描いた水草のあしもとに、金魚。
その金魚のあまりの可愛らしさに、思わず眼がとまって、入手した作品です。
この作品がいいのはですね、細長ーいことです。掛け軸、は床の間のないご
家庭にとって、飾りにくい、というイメージがありますが、この細長さは、
ちょっとしたスペースにさりげなくぶら下げて、ちょっと粋なサイズです。
山村耕花は、伊東深水(いとうしんすい)、川瀬巴水(かわせはすい)らと、
江戸期の浮世絵版画システムにならって、より芸術的で、個性の際立つ近代
「版画」を創作しようと立ち上がった、「新版画運動」にかかわり、役者絵
を得意としていました。
谷崎潤一郎の『お艶殺し』という作品は、耕花の木版画が各所にちりばめら
れた豪華本で、谷崎潤一郎の古書のうち、最も高値で取引されていると聞い
ています。
ちょっと変り種のこの一幅、夏の涼をとるのに、いかがでしょうか。
山村耕花『金魚』
絹本着色軸装
本紙 120×26.7 cm 総丈198×29.7 cm
若干のシミあり
落款・印・共箱
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-0037.html
☆作品は弊社画廊で御覧になれます。作品はそのもの一点限りですので、購
入をご希望される方はお早めにご連絡下さい。
<弊社開廊時間>
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(特集はお休みしました)
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懸賞企画のお知らせ(今日が締め切りです!!!)
トントン懸賞
http://www.syukado.jp/tonton/index.html
当店では、みなさまへの感謝の気持ちを込めて、懸賞企画をはじめる事にいた
しました。
まずは、7月1日締め切り(今日です!!!)
実は、この懸賞、面白い仕組みとなっておりまして、ほぼ毎日、何かが当たり
ます。というのも、これは「トントン懸賞」という妙な名前がついているので
すが、いくつかのオンラインショップが共催する形になっていまして、毎日、
A賞として一万円、B賞としてそれぞれのショップが用意する賞品が当たりま
す。懸賞とあわせてそれぞれのショップの個性豊かなメールマガジンをとるこ
ともできます。
私どもでは、前田青邨のくびら大王像の複製木版画を賞品として用意しました。
縦横額装39x33cm/本紙21x15cm ・・・ほぼ色紙大です。私どもで販売すると
すれば3万円位のものです。ごく簡単な、美術館のお土産的ランクのものです
が、状態は綺麗ですし、軽く楽しめるものと思います。
ちょっと楽しいこの企画、ふるってご応募ください。他店の賞品も当たるはず
なので、私も応募してしまいましたが、共催者には当たらないかな、やっぱり
・・・。
懸賞申し込みはこちら
http://www.syukado.jp/tonton/index.html
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このメールへの返信で私に届きます。
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(秋が長い。。。スミマセン、次号準備中です、本当に。言ったらやります)
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代表取締役 田中自知郎・田中千秋
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近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る
まで、あらゆる分野で活躍した画家・高僧・武将・文人・歌人・俳人の手に
よる絵画・書蹟、時代屏風、絵巻、古文書、古写本、古版本、稀覯本(きこ
うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって
対応致します。
弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界
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