□■□■ 「日本美術そうだったのか通信」 Vol.63
発行 有限会社アートオフィスJC・秋華洞
http://aojc.co.jp/ アートオフィスJC
http://www.syukado.jp/ おんらいんぎゃらりい秋華洞
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<本マガジンの説明>
日本美術の鑑賞界のホットニュース、古今国内東西の作家のエピソード、美術業界
裏話など、日本美術をより楽しむための情報をお届けします。
アートオフィスJC・秋華洞提供。
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こんにちは!お元気ですか。
アートオフィスJC・秋華洞の田中千秋です。
暑い日がまだら模様に続きますが、夜は肌寒い日も増えてきましたね。そろそ
ろ寝冷えをしないように、気をつけて下さいね。
ところで今日私は、自宅でこのメルマガを書いていますが、家で仕事をすると
少々不都合な事があります。
兎も角、なにかにつけて娘二人(小学校二年と幼稚園)が私の部屋に、なだれ
込んできては工作やら石やらネックレスやらを私の部屋に持ってきては「見て
みて」、「遊んで」と中断を余儀なくされることです。
子ども好きの「良い」お父さんとは言いがたい私は、閉口するばかりなのです
が、私が迷惑そうにしようと、しまいと、まとい付いてくる辺り、子どもの生
命力というのは、凄い、と感心させられます。
たまには思い切り遊んであげないと、駄目ですかね?
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もくじ
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・今週の作品紹介「須田剋太」「松林桂月」「野田九浦」
・365日懸賞
・社員募集
・人生は美しい 天田愚庵 その6
・ちょっとお知らせ
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●●ちょっとお願い●●
みなさんのお便りがとても励みになっております。是非是非、お寄せ下さいま
せ。「難しい」「下手くそ」など、ご批判も大歓迎です。
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今週の作品紹介
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■須田剋太『さんま』(すだこくた・さんま)
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/yo/A05-1043.html
いい色出してます。
当店ではとくに力を入れており、過去にメルマガでも特集したことのある、須
田剋太。
参考リンク:特集「須田剋太」バックナンバー
http://www.syukado.jp/sodatta/archives/cat17/cat5/index.html
画聖。あるいは、画狂。
絵を描く、以外のことには全くの無頓着。天真爛漫。天衣無縫。
アトリエで製作中の写真など見ると、まさにイメージどおり、もうそこらじゅ
うに製作した作品が放り出され、資料やらガラクタやらの山の中、壁に向かっ
てひたすら筆をふるう剋太の姿。
壁には心酔していたというルオーの絵のポスター。あのブットイ線、なるほど
ルオーから来ていたのか。
一方で、ルオー自身も禅画僧、白隠に影響を受けていると言われますから、こ
れは幸福な影響の連鎖という気が致します。
さて、本図。さんまの背の強烈な青が眼に飛び込みます。そして腹の銀いろの
表現。白を無造作であるかのように縦横に重ねることによって、まぶしい輝き
を表現しています。
そして、濁流の中を泳ぐかのようなバックのマチエール。
さらに、魚の口と尻尾で切られてしまう乱暴な構図。ここで「切れてしまう」
事が必然だったのではないでしょうか。
須田剋太『さんま』
紙・グワッシュ 額装
本紙26×37.5cm 額装41.5×52.5 cm
画中にサイン・共シール
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/yo/A05-1043.html
■松林桂月『探梅図』(まつばやしけいげつ・たんばいず)
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-1068.html
Vol.61で詳しくご紹介した松林桂月作品がもう一点入荷しましたのでご紹介し
ます。
参考:日本美術そうだったのか通信 Vol.61
http://www.syukado.jp/sodatta/archives/2005/09/vol61.html
最後の南画家、とも呼ばれる松林桂月。山麓に咲き始めた梅を尋ねる老人の姿。
梅の白さが緩急つけて繊細に描かれており、見るものを桃源郷に遊ぶ心地に誘
います。
画面下部が雲を表すかのような余白で占められているのは、ここが雲の上の
「異界」であることを暗示しているのでしょうか。
松林桂月『探梅図』
絹本着色軸装
本紙145×42.2cm 総丈217×57cm
落款・印・共箱
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-1068.html
■野田九浦『月夜牧童』(のだきゅうほ・つきよぼくどう)
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-1009.html
歴史画を得意とする野田九浦の作品です。
ひたひたと砂地を踏みしめる牛の足音が聞こえてきそうな、すずやかな作品で
す。少年の笛を吹くてつき、牛のからだ、表情が、非常に丁寧に描き込まれて
いて、九浦の高い技術を伝えています。
ちょっと過ぎてしまいましたが、夏向きの軸ですね。
野田九浦『月夜牧童』
絹本着色 軸装
本紙129×36cm 総丈204.8×49 cm
落款・印・共箱
http://www.syukado.jp/jp/search/detail/type/kake/A05-1009.html
作品は一点限りです。お問い合わせ・ご用命はお早めにお願い致します。品
切れの際はご容赦下さいませ。
作品は、東京・銀座六丁目、電通通り沿いの、弊社アートオフィスJC画廊で
御覧になれます。また、スタッフ出張により御覧いただくことも出来ますので
ご遠慮なくお申し付け下さい。
<弊社開廊時間>
平日、土曜 10:00-18:00
日曜休廊
※平日にお越しの方には、当店自慢の美人社員(当社比)がお茶をお入れしま
す!
http://aojc.co.jp/corp/index.html#map
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懸賞のお知らせ「365日懸賞」
現金1万円または、西山英雄先生の複製版画をはじめ、毎日プレゼントが当た
ります。今回は9月29日締め切り。ドシドシご応募ください。
http://www.syukado.jp/365/index.html
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スタッフ募集します!
スタッフを新たに募集いたします。一名。
仕事内容は、作品の整理、撮影、ウェブへの登録、画廊での接客など。
文章力に自信がある方、ウェブや画像の処理が得意な方、歓迎します。
詳しくはこちら
http://www.aojc.co.jp/corp/recruit.html
まずは弊社まで履歴書(写真添付)を送ってください。
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特集のスタートであります。
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人生は美しい 天田愚庵 その6
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(今までの天田愚庵)
天田愚庵その1,2,3,4,5(通信Vol.53,55,57,59,61)
http://www.syukado.jp/sodatta/archives/cat17/cat19/index.html
旅回りの写真師に身をやつしての父母探索も、結局、不成功に終わる愚庵。
清水次郎長親分のもとに帰ると、待っていたのは、養子にならないか、という
親分の頼みでした。
次郎長は何故、養子が必要だったのか。
次郎長は、子宝に恵まれず、最初、小政、ついで大政を子分にしました。とこ
ろが二人ともヤクザ者の常なのか、短命に終わってしまいました。
そんななか、次郎長と縁あって親交を結んだ新政府の高官でもある鉄舟が諭し
たようです。いつまでも切った張った、の稼業を続ける時代じゃないだろうと。
次郎長は、そんなこともあって、キッパリ賭博稼業から足を洗い、開墾事業を
手がけます。そこで、人柄や能力も認めた五郎(愚庵)に、跡を継いでもらい
たい、と考えるようになったわけでありました。
愚庵は、愛情を注いでもらい、また度量の大きい次郎長の人柄にも惚れ込んで
いましたから、その申し出を受けて、さらに開墾事業の現場監督になります。
ところがこれが大変な難事業。開墾事業は利益が出るまでかなり時間がかかり
ます。だから慢性的資金不足。
ヤクザものの監督として、決して迫力不足ではない愚庵でしたが、もともとは、
監獄の囚人をつかっていた事業、カネがないため、現場での労働者たちの待遇
もけして良くなく、脱走をおさえるのがせいいっぱい、次郎長の子分たちも作
業に倦んで、愚庵は「なまちゃん」(生意気君)と陰口をたたかれる始末。
そんななかで、突然、清水次郎長が逮捕、拘留されてしまいます。
ときに明治17年。
もう、ヤクザ稼業からは、足を洗っているのに!
実は、これは政府のヤクザ稼業者の無差別取り締まりでありました。
西南戦争で予算が逼迫した政府は、お札をジャブジャブ刷って、辻褄を合わせ
ようとしますが、経済学のイロハどおり、これで物価が急上昇。
あわてた政府は、反対に増税、さらにお札を焼き捨てて、もとに戻そうとしま
すが、こんどは、増税と物価の下落で、農民は食うや食わずの困窮におそわれ、
社会が不穏な空気に包まれます。
(経済学のイロハを知るデータとして興味深いですね、竹中さんの「経済って
そういうことだったのか会議」じゃありませんが。
※参考 『経済済ってそういうことだったのか会議』佐藤 雅彦, 竹中 平蔵
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532191424/250-9144635-6093835)
しかし当事者は冗談じゃない、生活が出来ない。農民と、農民に義侠心を持っ
たヤクザモノが武器を持って蜂起するのを恐れた政府が、先手を打って無差別
に大物ヤクザを逮捕したのでありました。
そんな馬鹿な!次郎長はカタギの商売を苦労してやっているのに。
そこで元の幕末三舟のうちふたり、鉄舟、海舟、そして、愚庵が立ち上がるの
でした。
(この項続く)
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ちょっとお知らせ
(その1)
おんらいんぎゃらりい秋華洞「お客様の声」コーナーで、須田剋太作品をご購
入いただいた東京のS様にご登場願いました。
http://www.syukado.jp/jp/voice/index.html
ゆったりして、清潔なお部屋で、絵の一点一点を心を込めて飾っていらして、
暮らしを大事にしていらっしゃる感じが伝わって参りました。
須田剋太を、正面にバーン、と掛けてみるときもあるそうですが、この日は、
ビュッフェを中心に陳列して、須田剋太はイーゼル立てされていました。
ビュッフェについて。
都会的に研ぎ澄まされたなかに、どこかユーモラスな感触もあるビュッフェの
版画の、「生かし方」を知っておられるように思いました。非常に自然に部屋
と調和していて、快適なお部屋を作られていらっしゃいました。
みなさんは、美術品と、どんな楽しみ方を、されていますか、またはしてみた
いですか?
(2)特集の今後について
天田愚庵の連載はあと二回くらいの予定です。次に誰を持ってこようか、考え
ています。一つには、「最後の南画家」松林桂月を考えていますが、一方で、
よく知られた人、大観あたりもアリかとも思います。人物特集のほか、真贋シ
リーズ、価格シリーズ、ギョーカイ話シリーズもありかな。
みなさんのリクエストがありましたら、お寄せ下さい。
(3)リアルの企画
そろそろ弊社としても、実際に皆さんをお招きする企画を考えています。まず
は来年の新年会から。そのほか、展覧会企画、旅行企画もあり。みなさんが参
加してみたい企画がありましたらお寄せ下さいませ。
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このメールへの返信で私に届きます。
みなさんのお返事、ご感想がとても力になります。ぜひぜひ、ご意見・ご感想
をお寄せ下さい。ここが違うゾ、という率直なお叱りも勿論歓迎致します!
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近代絵画・現代絵画を軸とし、さらに、鎌倉・室町時代より、現代に至る
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よる絵画・書蹟、時代屏風、絵巻、古文書、古写本、古版本、稀覯本(きこ
うぼん)を専門とし、その他、彫刻、工芸品、茶道具など、多岐にわたって
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弊社は平成15年に設立、平成16年に開店致しましたが、50年近く美術業界
で活躍した代表・田中自知郎が息子・田中千秋と共に新たに設立致しました。
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